「体温が35度台」は健康的とはいえない!/冷え対策(2)

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寒い時期のお出かけでは、暖かい服装をしても手足が冷たく、「冷え」を感じることはありますね。温度の高い部屋にいても、「寒い」と感じる人がいます。毎冬、冷えに悩まされている人の中には、「体温が低いから仕方がない」と諦めている人も。でも、上がらない体温には理由があるのです。東京有明医療大学教授の川嶋 朗先生にお聞きしました。

前の記事「体内で熱を作り出すカギは筋肉にあり!/冷え対策(1)」はこちら。

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冷えを感じる人は、体温が低い傾向があります。人間の平均体温は36度以上ですが、35度台の人も少なくありません。しかし、35度を下回ると低体温症で凍死するリスクが高まり、35度台の体温というのは、実は健康的とはいえないのです。

「体温が1度下がると、免疫力は30%低下すると報告されています。風邪のウイルスは、発熱などで排除していますが、35度台の人は体温が上がりにくいため、風邪も治りにくいのです」と川嶋先生は指摘します。

体内に侵入した風邪のウイルスには、免疫力で抵抗しなければなりません。体温が低いと免疫力も低いため、ウイルスの増殖を許してしまうのです。ウイルスは40度程度でも死んでしまうほど熱に弱いため、ウイルスが増殖すると体温を上げて退治する仕組みがあります。また、免疫細胞の働きが活発になることで、さらに体温が上がっていくのです。

でも、もともと体温の低い人は、体温を上げる力も弱くなります。ウイルスの増殖を許し、退治することがなかなかできないので、症状が長引くことにつながります。「冷えで血流が悪いと、ウイルスなどの異物のいる場所へ、免疫細胞が到達するのにも時間がかかります。人間の体内では、毎日のようにがんの芽が生じていますが、それを退治することができないと、がん発症にもつながるのです」と川嶋先生。

さらに、体温が1度下がると、代謝が13%落ちるとの報告もあるそうです。筋肉量が少ないうえに体温が35度台となれば、エネルギー代謝は進みません。暴飲暴食とは無縁の生活でも、脂肪がたまりやすく生活習慣病にもなりやすいのです。生活習慣病は、血流や代謝の悪さに拍車をかけます。臓器の動きや自律神経の働きも乱し、「眠れない」「だるい」「むくみ」などの体調不良にも陥りやすくなります。35度台の体温で冷えを抱えることで、良いことは一つもないともいえます。

体を温めると、当然のことながら体温は上がり、免疫細胞を活性化させて数を増やすこともできます」と川嶋先生。

体を温めることを意識することが大切なのです。

 

あなたは大丈夫?「冷え」のセルフチェック

▼チェックリスト
□他の人よりも寒さに敏感だと思う
熱中症になりやすい
夏に暑くてもあまり汗をかかない
電車やバスでは、なるべく座りたい
運動はあまり好きではない
平熱は35度台だ
ピッタリする洋服が好き
冷たいものを食べたり飲んだりするのが好き
浴槽につかるよりシャワーだけで済ますことが多い

◎一つでも思い当たる事柄がある人は要注意!
寒い冬に冷えを感じることはありがちですが、冷えは体質というより冷えを招きやすい生活習慣に関係しています。筋肉量が落ちやすい、血流が悪くなりやすい、代謝が落ちやすい生活は冷えにつながるのです。一つでも当てはまる人は正しい冷え対策を!

 

▼「冷え」は、さまざまな不調をもたらします

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冷えによって血流が悪くなると、免疫力が低下して代謝が下がります。また、自律神経の働きも乱れるため不調につながります。

 

次の記事「ホットドリンクよりも日中の活動量アップと湯たんぽで体温上昇を/冷え対策(3)」はこちら。

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

<教えてくれた人>
川嶋 朗(かわしま・あきら)先生

東京有明医療大学教授、東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。医学博士。北海道大学医学部卒。米国ハーバード大医学部の総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを歴任し、2014年から現職。日本予防医学会理事。

この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の情報です。
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