筋肉量の減少によって体温も低くなり冷えに
寒い時期のお出かけでは、暖かい服装をしても手足が冷たく、「冷え」を感じることはありますね。温度の高い部屋にいても、「寒い」と感じる人がいます。毎冬、冷えに悩まされている人の中には、「体温が低いから仕方がない」と諦めている人も。でも、上がらない体温には理由があるのです。
体温を作り出しているのは筋肉です。筋肉は体や組織を動かすと同時に熱を生み出し、その熱は血液によって全身に運は゛れ、体温調節に関わっています。筋肉量が少なく血流が悪いと平均体温は低くなるのです」と川嶋朗先生は説明します。
体温の低い体では、血液の中の脂肪が固まってドロドロとした状態になるそうです。煮込んだ豚肉などを冷ましたときに、脂肪の塊ができますよね。それと似ています。冷えた血液も固まりやすく、流れが悪くなるのです。ドロドロの血液では、全身に熱をくまなく届けることができません。熱を生み出せない、運べない悪循環で、冷えに拍車がかかります。
「血流が悪いと、酸素や栄養素を全身に届けることが難しくなって、体調不良に陥りやすくなります。また、免疫力が低下して風邪などの病気につながるのです。冷えは万病のもとともいえるのです」と川嶋先生。
冷えを侮ると怖い病気にもつながるので注意しましょう。
ご存じですか?「冷え」のこと
「冷え」ってどういうこと?
▶体温は正常でも寒さで苦痛を感じる
▶低体温の場合もある
▶温めても寒くてしょうがない
「冷え」と「低体温」の違いは?
▶「低体温」は、体温(腋窩温(えきかおん))が36度未満
▶「低体温」は「冷え」の一部
「冷え」の原因は?
▶筋肉量が少なく、体内で熱を作り出すことができない
▶血流が悪く、体の末端に血液がうまく流れていかない
▶自律神経が乱れて血流が調整できない
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取材・文/安達純子
川嶋 朗(かわしま・あきら)先生
東京有明医療大学教授、東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。医学博士。北海道大学医学部卒。米国ハーバード大医学部の総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを歴任し、2014年から現職。日本予防医学会理事。