これからの冬の季節は肌が乾燥しやすい時期になります。さらに大人世代は加齢による影響もあるのでしっかりと対策をとっておきたいもの。今回はアレルギー疾患研究センター長の戸倉新樹(とくら・よしき)先生にお伺いしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年12月号に掲載の情報です。
主な原因
・加齢による皮膚の3つの保湿因子の低下
主な予防・改善法
・保湿剤を塗る
・加湿器で室内の湿度を上げる
・皮膚に刺激を与えない
・長湯をしない
肌のかゆみはなぜ起こる!?
冬は外気が乾燥する上、暖房器具を使うので肌が最も乾燥しやすい季節です。
特に大人世代は角質の保湿成分や皮脂の分泌が低下するのでなおさら乾燥しやすくなります。
皮膚の一番外側にある薄さ0.02mmの「角層」には人間が進化の過程で獲得した工夫が詰まっています。
皮膚の潤いを保つ3つの装置「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」です(上記参照)。
しかし加齢とともにその機能が低下すると、肌が乾燥しやすくなります。
最も乾燥しやすい部位は皮脂腺が少ない脚のすねです。
肌の乾燥する初期段階では白い粉が吹いたような状態ですが、段階を経て後述の写真のような症状になります。
肌が乾燥するとかゆみを感じやすくなるのは、内部で目には見えない程度に軽い炎症が起きていることと、さらにかゆみを伝える知覚神経が皮膚の表面近くまで伸びてきて、外部の刺激に過敏になることが考えられます。
かゆいからといってかきむしると角質がはがれて皮膚のバリア機能が低下してますますかゆくなり、悪循環に陥ります。
悪化すると、「皮脂欠乏性湿疹」になるので、初期段階で保湿剤によるスキンケアをして、水分と油分を補うことが重要です。
保湿剤には成分ごとに目的や特徴があります。
自分に合う保湿剤を選んで適切に使うことが大切です。
特に保湿剤の使用量が少ない人が多いので注意してください。
塗るタイミングは、入浴後5分以内が効果的です。
入浴することで角層に溜まっている水分を確実に保つことができ、衣服を脱いだ状態で面倒がらずにスキンケアができる環境にあるからです。
脱衣所に保湿剤を置いておくのがおすすめです。
1~2週間で効果が表れない場合は、皮膚科を受診してください。
湿疹が生じている場合はステロイド入りの塗り薬で炎症部分を治療します。