保湿剤を塗るなどこまめなケアで皮膚を守る。「乾燥肌」を遠ざける「生活習慣」

空気が乾燥する秋から冬にかけて、肌がカサカサしたり、赤くなったりはしませんか? そんな肌トラブルの原因の一つが乾燥肌です。そこで今回は、東邦大学医療センター 大森病院 皮膚科客員教授の関東裕美(かんとう・ひろみ)先生に「乾燥肌を遠ざける生活習慣」についてお聞きしました。

【前回】白く粉を吹いてかゆい! 「乾燥肌」のセルフチェックと知っておきたい「NGケア」は?

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摩擦を減らして保湿と安静が不可欠

乾燥肌による肌トラブルを防ぐには、洗い過ぎの見直しが不可欠といえます。

特に目の周りや口の周りがカサカサしている人は要注意です。

「健康が損なわれた肌は、安静にして正常な状態に戻してあげることが必要になります。メイク落としはクレンジングでやさしく行い、お湯でさっと流すだけ。柔らかいタオルでそっと水分を取り除きましょう。その後に、保湿剤を塗ってください」と関東先生はアドバイスします。

破綻したバリア機能は、保湿剤で保護しながら安静にする(こすり過ぎない)ことで機能の回復が可能となります。

しかし、乾燥肌に気付かない場合や、市販のかゆみ止めや抗炎症薬を塗って、"治らない"肌トラブルに悩む人もいます。

かゆみや炎症を抑えても、乾燥肌という根本的な部分が解決しないと、肌の健康を取り戻すのは難しいのです。

「肌トラブルといっても、原因はいろいろあります。自己判断はやめて、医療機関を受診しましょう。また、手を洗った後もすぐに保湿剤を塗るなど、こまめにケアをして、皮膚を守ってください」と関東先生。

全身を洗うときも、泡立てた石鹸を手にのせてそっと肌の上に置き、お湯で流すのが、肌を守るために役立つそうです。

「冬場は汗もかきにくいので、全身を石鹸で洗うのも、2日に1回程度で十分です。湯船に入る前には、鼠径部や脇の下などを泡立てた石鹸でそっと洗ってお湯で流すようにしましょう。湯船に沈んで垢を流す入浴の方が皮膚ダメージは少なくて済みます」

保湿の基本は洗った後に5分以内

そっと洗って汚れを落とした肌には、保湿剤を塗ることも重要です。

市販の保湿剤は、安価なものから高額なものまでさまざまな種類がありますが、自分で使いやすい商品を選べばよいそうです。

"洗ったら必ず保湿"を忘れないことが大切です。

「保湿剤は、顔や手、全身で製品を使い分けても大丈夫です。入浴後5分以内に塗るようにしてください」

両手のひらの面積あたりの保湿剤使用量は、軟膏やクリームならば人さし指の先端から第一関節まで、ローションならば一円玉の大きさが目安といわれています。

全身広範囲に塗布する場合には、この分量を参考にして十分な量を塗るようにしましょう。

また、手を洗った後も保湿剤を塗ることを忘れずに。

外出先にも保湿剤を持ち歩き、手に塗ることを習慣化するとよいそうです。

「肌トラブルに悩まれるときには、誤った情報に振り回されて自己判断を行うのは避けましょう。医療機関を受診するなど正しい情報によって知識を得て、適切な方法で肌を守っていただきたいと思います」と関東先生は話します。

加齢や外気による乾燥肌を退けて、スベスベの肌の状態を維持しましょう!


《こんな症状が見られます》

水仕事にはつきものの「手湿疹」とは?

●かゆみ
●皮膚が厚く、硬くなる
●指紋が薄くなる
●小さな水ぶくれができる
●グジュグジュした湿疹
●ひび割れ

手の肌のバリア機能は、家事などの水仕事や感染予防のアルコール消毒などの刺激で破綻しやすく、洗剤や食材などに対するアレルギー反応や細菌感染の原因となり、かゆみや炎症、湿疹、ひび割れなどの症状を引き起こします。これが手湿疹です。ハンドクリームやゴム手袋を使用して予防に努めても治まらないときには、皮膚科へ。むやみに市販薬を使用すると逆効果の場合もあるのでご注意を。


乾燥肌を遠ざける生活習慣&予防と治療のために

【洗う】ゴシゴシこすらない洗い過ぎはやめましょう

手を洗うときは

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泡立てた石鹼で手をなでるように洗うのが基本です。洗ってタオルで水分を取り除いたらハンドクリームで保湿をしましょう。

入浴時は

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全身も泡立てた石鹼でなでるように洗うのが基本。リラックスするには、ぬるめの湯船にアロマオイルを入れて香りを楽しむのも○。

【守る】衣類による摩擦など外部の刺激から守る

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バリア機能が破綻した肌は化繊の衣類やアクセサリーで炎症を起こします。下着は綿素材を選ぶなど摩擦を最小限にしましょう。室内が乾燥しないように、加湿器の積極活用を。

【補う】不足している皮脂を補う

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水分の蒸発を防ぐには、手洗い後や入浴後に保湿剤を。両手のひらの面積あたりなら、軟膏やクリームは人さし指の先端から第一関節くらいまで、ローションは一円玉程度の大きさが目安です。

その他に

肌が疲れていると感じたら、使用している基礎化粧品の種類を減らしましょう。肌ダメージを減らすことができます。使用製品の数が減れば、こする回数も減るので、肌への刺激が少なくなるでしょう。

《予防と治療のために》

保湿剤と治療薬のいろいろ

白色ワセリン
油の成分で肌の表面を覆うことで、角質層から水分が蒸発するのを防ぎます。

ヘパリン類似物質
乾燥肌の代表的な治療薬です。現在、一般用医薬品としても販売されています。

ステロイド外用薬
抗炎症薬として優れた効果を持ちますが、医師の指導の下で使用するのが基本です。

その他
保湿剤の商品はいろいろあります。使い慣れて肌の健康が維持されていれば継続を。

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

<教えてくれた人>

東邦大学医療センター 大森病院 皮膚科 客員教授
関東裕美(かんとう・ひろみ)先生
1980年東邦大学医学部卒。米国留学などを経て、2012年東邦大学医療センター大森病院スキンヘルスセンター長、同臨床教授に就任。21年4月より現職。

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この記事は『毎日が発見』2022年1月号に掲載の情報です。

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