空気が乾燥する秋から冬にかけて、肌がカサカサしたり、赤くなったりはしませんか? そんな肌トラブルの原因の一つが乾燥肌です。そこで今回は、東邦大学医療センター 大森病院 皮膚科客員教授の関東裕美(かんとう・ひろみ)先生に「肌の乾燥」についてお聞きしました。
ご存じですか? 「乾燥肌」
皮膚の角質層と呼ばれる部分の水分量が低下して、肌が乾燥した状態のこと。
□皮膚が突っ張るような感じがある
□肌の表面が、カサカサしたり、ピリピリする感じがある
□️見た目が白く粉を吹いているようになる
□️かゆくなることが多い
□️寒いときにも薄着で、あまり手袋をしない
□️手や体を洗うとき、しっかりゴシゴシ洗うようにしている
□️外出するとき、紫外線対策を忘れてしまうことがある
当てはまるものが一つでもあったら、あなたは「乾燥肌」または「乾燥肌予備軍」かもしれません。早めに皮膚科を受診、医師に相談を。
洗い過ぎ&塗り過ぎはNGです
適度なバランスで対処して肌の乾燥を防ぎましょう
秋から冬にかけて空気が乾燥すると、肌がカサカサしてかゆくなったり、赤くなることがあります。
ひどい場合は、湿疹が広がり、強いかゆみや痛みに悩まされることも...。
そんな肌トラブルの原因の一つが乾燥肌です。
「肌の表面は、角質層と皮脂によって守られています。しかし、皮脂が加齢とともに減少することで角質層の水分が失われ、バリア機能が破綻しやすいのです。それが、かゆみや湿疹などの原因になります」と関東裕美先生。
健康な肌は、表面が皮脂で覆われることで角質層の水分が保持されています。
手で触ったときにスベスベしているのがその証しです。
肌のバリア機能が保たれていれば、病原体や化学物質などの異物の侵入も退けることができます。
しかし、角質層を覆う皮脂の分泌量が減ると、角質層の水分量はどんどん減り乾燥肌になります。
特に湿度が低い秋から冬は、肌の水分も蒸発しやすいのです。
乾燥肌でバリア機能が破綻することで、かゆみや湿疹などの肌トラブルにつながるのです。
「コロナ予防の影響で、手を洗う機会が増えた方も多いでしょう。顔もお化粧を落とすために洗いますね。化粧を始めたときに、通常メイク落としをした後に洗顔をする『ダブル洗顔』が必要であることを教わります。年を重ねても化粧を始めた当時と同じ洗顔方法を続けている方が多く、特に乾燥時期には洗い過ぎになってしまい、年齢とともにダブル洗顔が乾燥肌に拍車をかけるのです」と関東先生。
外出先では手指のアルコール消毒は当たり前になっています。
帰宅後や食前には手を洗い、家事などの水仕事もあると、手は四六時中洗うような状況下に置かれています。
一方、コロナ予防のマスクの着用では、マスクで隠れる部分の口紅やチークといったメイクは省くので目元はむしろしっかりと化粧をする人もいるでしょう。
アイシャドウやアイライナーなど目周りの化粧を落とすのに、クレンジング剤を使い、その後に洗顔料で洗うのが一般的です。
また、バスルームに入って体もナイロンタオルでゴシゴシ洗って湯船でゆったり過ごす。
清潔志向の国民性がなせる業ですが、このような"洗う"習慣が、冬季の乾燥時期には肌によくないのです。
「乾燥肌でダメージを受けている肌に、ダブル洗顔やナイロンタオルでゴシゴシ洗うと、バリア機能をさらに破綻させます。乾燥肌は放置すればかゆみにつながり次第にかくようになり全身の肌に広がってしまうのです。加齢による乾燥肌に、洗う習慣が追い打ちをかけるのです」
《症状が出やすい部位は》
顔では目の周りや口の周り、頰が皮脂の分泌量が少なく乾燥しやすい場所です。全身では、すね、かかと、ひじは乾燥しやすく、衣類などですれると摩擦で乾燥肌が進行し、かゆみなどにつながります。
《主な原因は》
加齢に伴う皮脂の分泌量の低下による肌の乾燥、メイク落とし・入浴・手洗いなどによる摩擦、アレルゲンや病原体、衣類などの刺激によって湿疹や炎症が生じることで肌トラブルになります。
健康な肌と乾燥した肌
健康な肌の表面は、角質がいくつにも重なった層を形成し、その角質層を皮脂が覆うことで、外敵などの侵入を防ぐバリア機能を担っています。皮脂の分泌量が減った乾燥肌では、角質層の水分が蒸発してバリア機能が破綻し、外部からの刺激を受けてかゆみや炎症、湿疹につながります。
【健康な肌】
【乾燥した肌】
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史