爪水虫は日本人の10人に1人、特に60歳以上は、男女ともに年々増加しています。
「爪水虫を放置すると、顔や体など他の部位はもちろん、周囲の人にも感染します。爪が厚くなって爪切りが困難になったり、痛みが出ることも。分厚くなった爪をかばって歩くことで、転倒やフレイル(※1)のリスクも高まります。また、糖尿病の人は足病変(※2)のリスクとなるため、爪水虫の菌を完全になくす治療が必須です」と、常深祐一郎先生。
爪水虫は似た病気が多く、診断が難しいといいます。
そのため、検査が必要です。
従来は、顕微鏡を使った鏡検(きょうけん)が主でしたが、新たにイムノクロマト法を用いた抗原検査が加わりました。
病院での診断は、まずは鏡検を行います。
鏡検で白癬菌(はくせんきん)が確認できない場合は、抗原検査を実施。
「抗原検査で陽性だった場合、爪水虫と診断します。こうすることで、鏡検での見逃しを防ぐことができます。また、顕微鏡での診断が難しい医療機関でも利用可能です」
爪水虫の治療は、飲み薬と塗り薬がありますが、効果が高いのは飲み薬だと常深先生。
「飲み薬の場合、2〜3週間できれいな爪が出てくる人も。最も長くかかる薬でも半年〜1年程度で完治を見込めます」
爪の変色など、心配な場合は皮膚科に相談してください。
※1 加齢により筋力や心身の活力が低下し、健康と要介護の間の虚弱な状態。
※2 糖尿病患者の足のトラブルの総称。水虫や細菌感染などの他、足の組織が死んでしまうことも。
構成・取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/坂木浩子