気になる「シミ・シワ・たるみ」を解消したい!正しい美容医療の選び方【美容外科専門の朝日先生が指南】

【発生する仕組み】

シミ
紫外線を多く浴びると、肌を守る色素「メラニン」が「メラノサイト」という細胞から産生されます。ターンオーバー(肌の細胞が一定周期で生まれ変わる仕組み)によりメラニンは排出されますが、加齢などにより周期が乱れて排出されないと、蓄積されてシミになります。

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UV-B(紫外線B波)は肌の表皮に影響。日焼けによる炎症を起こし、メラノサイトを活性化させる。

シワ・たるみ
肌は表皮の下の真皮でハリを保っています。紫外線や加齢によって真皮のコラーゲン線維や「エラスチン」という弾性線維が減ると、表皮はハリを失い、空気を失った風船のようにシワやたるみが現れます。また、表皮に乾燥性の小ジワが無数に発生することもあります。

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UV-A(紫外線A波)は波長が長く、肌の奥の真皮まで到達。時間をかけて悪影響を及ぼす。

「手軽」という言葉に
惑わされないように

例えば、シワやたるみの治療に、真皮にヒアルロン酸製剤やコラーゲン製剤を入れる「フィラー(充填(じゅうてん)剤)注入」は広く行われています。

これらは「吸収性充填剤」といい、半年程度で体内に吸収されて効果がなくなりますが、安全性は高いとされています。

一方、美容クリニックなどによっては、シリコンゲルなど非吸収性の充填剤を使用しているところもあります。

「非吸収性の充填剤は、体内組織への癒着や炎症による腫れや痛みなどのトラブルが起きた場合、取り出すことが困難です。このため、皮膚科や形成外科、美容外科などの5学会が共同で作成した『美容医療診療指針』では『行わないことを強く推奨する』としています」と、朝日先生。

「トラブルが起きたときに取り出せない人工物を入れるより、手術による美容医療の治療の方が安定した結果が得られることも多くあります」と、言います。

シワやたるみを取るために「手術」と聞くと、麻酔をし、傷が治るまでのケアも必要になるため、「大変」「怖そう」と感じる人はいるでしょう。

一方、チラシや広告などに「1回の注射でシワやたるみが取れる」と書かれていると、「それなら手軽」と飛びつきがちです。

しかし、その製剤がヒアルロン酸など吸収性の充填剤ならよいですが、非吸収性の充填剤かもしれません。

「非吸収性の充填剤は、医師免許を持っていれば医師の判断で使用することができます。規制する法律は今のところなく、医師の良心に頼っているところがあります。日本ではどのような美容医療を行うかは医師の判断に任され、劣悪な治療をしても規制はないのです」と、朝日先生は警鐘を鳴らします。

高額請求のトラブルも問題になっています。

十分な説明もせずに即日治療を行い、後で高額な請求をしたり、「無料」などとうたってモニターとして勧誘した来院者に別の高額な医療契約をすすめたり...といったケースが一例です。

構成/岡田知子(BLOOM) 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

日本医科大学形成外科 講師
朝日林太郎(あさひ・りんたろう)先生

2009年、三重大学医学部卒。2011年、日本医科大学付属病院形成外科・美容外科勤務などを経て現職。日本美容外科学会など5学会による「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」の診療指針作成委員も務める。

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