日本人女性の9人に1人が罹患する「乳がん」。しかし、早期発見すれば生存率はあがります。そのための乳がん検診の受診率が47%となっており、「乳がん検診を忘れずに受けてもらいたい」と、がん研有明病院 副院長の大野真司先生は注意を呼びかけています。
1年で約2倍の大きさに
早期の発見が何より大事
どんな病気?
● 乳房にある「乳腺」の細胞から発生する悪性腫瘍。
● 日本人女性の9人に1人が罹患する。
● 日本人女性のがんの罹患数として第1位、死亡率は第4位。
● 日本では年々罹患数が増加。特に40代後半~70代に多い。
● 0期、1期の「早期がん」なら生存率は90~100%。
● 「遺伝性乳がん」が5~10%を占める。
女性が最もなりやすいがんが、乳がんです。
日本人女性の罹患数は女性の部位別がんの中で第1位を占めており、9人に1人が患うと推計されています。
「世界中の悪性腫瘍(がん)の中で、乳がんは最多となるほど罹患率が高いですが、早く発見すればするほど治る確率は高くなります。進行の度合いは0期~4期に分けられ、早期の0期の段階なら再発の心配もなく、5年生存率は100%期待できます。いかに早い段階で見つけ、早期に治療を行うかが重要です」と、大野真司先生は話します。
乳がんの0期はがん細胞が乳管にとどまり、乳房を触っても、しこりとして感じるのが難しいほど小さいがんですが、乳がん検診で見つけられます。
1期は2cm以下で、がん細胞のリンパ節転移がない状態。
リンパ節とは乳房のそばにある免疫を司る組織で、ここにがん細胞が転移すると、リンパ液と一緒に全身に流れて乳房以外の組織にもがんが転移する可能性があります。
1期はその可能性が低い状態です。
がんの大きさや数の多さ、リンパ節転移の有無によって2期以降はステージが上がり、4期になると、肺や骨、肝臓など他の臓器にがんが転移した状態になります。
「乳がんができていることに気付かず、そのままにしていると、1年間に1.5~2倍の大きさになります。2cmだった乳がんも1年たつと3cm、3年たつと4~5cmになり、3期でリンパ節転移を起こす状態になってしまいます。そうなる前に、乳がん検診を受けていただきたいのです」と、大野先生は呼びかけます。