足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
【前回】「下肢静脈瘤」再発はゼロではない。まずは「生活習慣」の見直しを
軽症から中等症までならセルフケアで症状が改善する
下肢静脈瘤の治療法には2種類あります。
ひとつは弁が壊れた血管を直接処置する治療。
これは医療機関で行います。
もうひとつは体操やマッサージなど自分で行うセルフケアです。
実は、下肢静脈瘤と診断されても軽症から中等症であれば、セルフケアで治したり症状を軽くしたりすることができるのです。
私のクリニックにいらっしゃる患者さんも、多くの人は軽症で治療が必要なかったり、セルフケアで症状が軽くなってしまいます。
そのため、診察に来るのは初診の1回だけという方も多いのです。
そこで、当院でも指導している下肢静脈瘤に効果が高いセルフケアについてご紹介しましょう。
セルフケアの3本柱
体操
マッサージ
弾性ストッキング
セルフケアは、次の3本柱が基本です。
1.体操
2.マッサージ
3.弾性ストッキング
下肢静脈瘤は生活習慣や環境、加齢、体質などによって静脈内の逆流防止弁が壊れ、心臓に戻りにくくなった血液が足にたまってしまうことで起こります。
これらのセルフケアは、どれも足の静脈の血流を促してスムーズにすること、足の静脈に血液がたまりにくくすることを目的としています。
まず取り組んでいただきたいのは、体操です。
体操を習慣的に行うことで、足の不快な症状を改善できます。
さらに体操の種類によっては太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えることができ、全身の血流を促すことにもつながります。
その結果、下肢静脈瘤だけでなく、冷え性などの血流に関わる症状、足の筋肉の強化などによい影響が期待できます。
足の血行を促すマッサージもおすすめです。
マッサージは特にむくみに効果があります。
弾性ストッキングとは、足に適度な圧力をかけ、足の血液を心臓に戻すふくらはぎの筋ポンプ作用をサポートしてくれるストッキングのこと。
市販品では「着圧ストッキング」とも呼ばれています。
足のむくみやだるさの改善、下肢静脈瘤の進行防止や治療後の再発予防などの効果があります。
体操、マッサージ、弾性ストッキングのどれかひとつだけ行うのもいいですが、組み合わせるとさらに効果が期待できます。
まずは畳や布団の上で体操をして、入浴中にリラックスしながらマッサージ、日中は弾性ストッキングをはくといった具合に、好きなときにやりやすいものから始めてみましょう。
また、これらのセルフケアは下肢静脈瘤以外の原因で起こる足のむくみにも、とても有効です。
下肢静脈瘤は見当たらないけれど、足がむくんで辛いという方もぜひ取り組んでみてください。