下肢静脈瘤は毎日の軽い体操で劇的に改善! 特に午後から夕方が効果大/下肢静脈瘤の治し方

「足に謎のボコボコができる」「青い血管がウネウネする」など下半身の見た目に大きく影響してしまう「下肢静脈瘤」。足の静脈の弁が壊れて起こる病気ですが、推定患者数は1000万人以上とされ、とても多くの方が悩んでいます。そこで、血管の病気に詳しい医師・広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(毎日が発見)より、「下肢静脈瘤のセルフケアと最新治療」を連載形式でご紹介します。

【前回】足がむくんでだるい下肢静脈瘤。悪化すると痛みやかゆみが生じ、皮膚の変色も!/下肢静脈瘤の治し方

【最初から読む】足に謎のボコボコ、青い血管がウネウネ...下肢静脈瘤、なぜ起こる?/下肢静脈瘤の治し方

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軽症から中等症までならセルフケアで症状が改善する

下肢静脈瘤の治療法には2種類あります。

ひとつは弁が壊れた血管を直接処置する治療。

これは医療機関で行います。

もうひとつは体操やマッサージなど自分で行うセルフケアです。

実は、下肢静脈瘤と診断されても軽症から中等症であれば、セルフケアで治したり症状を軽くしたりすることができるのです。

私のクリニックにいらっしゃる患者さんも、多くの人は軽症で治療が必要なかったり、セルフケアで症状が軽くなってしまいます。

そのため、診察に来るのは初診の1回だけという方も多いのです。

そこで、当院でも指導している下肢静脈瘤に効果が高いセルフケアについてご紹介しましょう。

セルフケアは、次の3本柱が基本です。

1 体操
2 マッサージ
3 弾性ストッキング

下肢静脈瘤は生活習慣や環境、加齢、体質などによって静脈内の逆流防止弁が壊れ、心臓に戻りにくくなった血液が足にたまってしまうことで起こります。

これらのセルフケアは、どれも足の静脈の血流を促してスムーズにすること、足の静脈に血液がたまりにくくすることを目的としています。

まず取り組んでいただきたいのは、体操です。

体操を習慣的に行うことで、足の不快な症状を改善できます。

さらに体操の種類によっては太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えることができ、全身の血流を促すことにもつながります。

その結果、下肢静脈瘤だけでなく、冷え性などの血流に関わる症状、足の筋肉の強化などによい影響が期待できます。

足の血行を促すマッサージもおすすめです。

マッサージは特にむくみに効果があります。

弾性ストッキングとは、足に適度な圧力をかけ、足の血液を心臓に戻すふくらはぎの筋ポンプ作用をサポートしてくれるストッキングのこと。

市販品では「着圧ストッキング」とも呼ばれています。

足のむくみやだるさの改善、下肢静脈瘤の進行防止や治療後の再発予防などの効果があります。

体操、マッサージ、弾性ストッキングのどれかひとつだけ行うのもいいですが、組み合わせるとさらに効果が期待できます。

まずは畳や布団の上で体操をして、入浴中にリラックスしながらマッサージ、日中は弾性ストッキングをはくといった具合に、好きなときにやりやすいものから始めてみましょう。

また、これらのセルフケアは下肢静脈瘤以外の原因で起こる足のむくみにも、とても有効です。

下肢静脈瘤は見当たらないけれど、足がむくんで辛いという方もぜひ取り組んでみてください。

体操は短時間でも毎日続けることを目指そう

体操を行う時間は、できれば午後から夕方にかけてがおすすめです。

午前中に行ってはいけないということではありません。

就寝中は横になっているので、心臓と足の高さが同じになり、足の血液がスムーズに心臓に流れています。

そのため、起床してすぐは足の症状が出にくいのです。

午後から夕方にかけて、足の不快な症状は増しますから、そのときに行うほうが効果的です。

次に、短時間でいいので毎日続けることも大切です。

はりきりすぎると辛くなったり面倒になったりして、結局長続きしません。

それでは意味がありません。

また、体操を行っても症状が改善しなかったり悪化する場合は、医療機関を受診してください。

下肢静脈瘤以外の病気が原因で症状が起こっている可能性があるためです。

下肢静脈瘤が進行している場合も、セルフケアでは効果が得られにくいので、医師に相談をしてください。

体操の3つのポイント

ポイント1:午後から夕方にかけて行う
足の症状が出やすいのは、午後から夕方にかけて。その時間に行うと効果を実感しやすくなり、続けるモチベーションが高まります。

ポイント2:こまめに毎日行う
一度やって効果が出ないからとあきらめないで。毎日続けることで症状は改善に向かいます。毎日続けられるよう、1日に行う時間は短くてOK。

ポイント3:効果がないときは受診する
1カ月以上続けても症状がまったく改善しない、むしろ悪化しているという場合は、別の病気が原因の可能性があるので医療機関を受診してください。

【次回】名前は強烈...。でも下肢静脈瘤に効果抜群な「ゴキブリ体操」って?/下肢静脈瘤の治し方

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命にかかわる病気? 血栓がとぶ? 手術しないと治らない? など下肢静脈瘤への疑問が解決します。

 

広川雅之(ひろかわ・まさゆき)
1962年、神奈川県生まれ。お茶の水血管外科クリニック院長、東京医科歯科大学血管外科講師、医学博士、外科専門医、脈管専門医。高知医科大学卒業後、ジョーンズホプキンス大学医学部留学、東京医科歯科大学血管外科助手などを経て現職。東京医科歯科大学血管外科で静脈の病気を専門として診療を行い、内視鏡的筋膜下穿通枝切離術(99年)、日帰りストリッピング手術(2000年)、血管内レーザー治療(02年)など、下肢静脈瘤の新しい治療法の研究・開発を行っている。

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『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』

(広川雅之/毎日が発見)

長年、下肢静脈瘤を治療してきた名医が、治し方をやさしく解説します。すべての患者に薦めるという「1分体操」をカラー写真で分かりやすく紹介。保険治療となった日帰りの「最新手術法」も詳しく掲載しています。

※この記事は『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(広川雅之/毎日が発見) からの抜粋です。
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