病院へ行く必要がなくなるかも? 初診も可能になった「オンライン診療」の利用方法と「必要なもの」

これまで初診時は「直接の対面」が原則でしたが、今年4月からは、オンラインでの初診が可能に。医療用の医薬品や機器を扱うアボットジャパン合同会社が、変化したオンライン診療についての説明会を実施しました。今回は、中野島糖尿病クリニックの渡部ちづる(わたなべ・ちづる)先生に「オンライン治療の活用法」をお聞きしました。

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オンライン診療の活用法

受診できる人

かかりつけ医でない場合は診療前にオンラインで相談。

【慢性疾患をもつ人】
主に、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病や、慢性頭痛、てんかん、指定難病で一定期間通院の実績がある人。

【初診OK】
原則、かかりつけの医師が行います。「しっかりとした情報を用意」または「診療前にオンラインで相談を行う」場合は初めてでも受診OK 。遠方の場合も可能。

必要なもの

  • スマートフォンやパソコン、タブレットなどの通信機器
  • インターネット環境

医療機関によって、指定のオンライン診療アプリケーションが必要となる場合があります。診療を受ける医療機関に確認してください。

利用方法

(1)予約をとる
〈かかりつけ医がいる人〉
医師と相談のもと、オンライン診療に移行を。

〈かかりつけ医がいない人〉
希望する医療機関にオンラインでの診療が可能か確認し、オンラインで予約をとります。問診票の入力、保険証の登録等の設定を行い、支払方法についても確認を。

(2)診察を受ける
予約時間になると、医療機関からオンラインで接続されます。ビデオ通話で診療を受けましょう。

(3)薬を受け取る
郵送を希望する場合は、自宅に薬が届きます。薬局へ受け取りに行く場合は、自宅に届いた処方箋を持ち、調剤薬局で薬を受け取ります。

《できないことも!》
処方できない薬があります

麻薬、向精神薬の他、基礎疾患などの情報が把握できない場合は一部の薬の処方ができません。

処方日数に制限があります
基礎疾患など情報が把握できない場合の処方は、7日間まで。


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年4月より初診のオンライン診療が特例で認められていましたが、今年4月から恒久的に可能に。

「これまでオンライン診療は、かかりつけ医のもとで実施が原則でしたが、かかりつけの医師以外でも、患者の情報を診療前に確認することを条件に、初診からの診療が可能に。対面診療を補完するものと位置づけられていますが、対面診療を行うことなく治療完結しても大丈夫です」と、渡部ちづる先生。

かかりつけ医以外の医師がオンラインで初診を行う場合は、医師と患者が事前に映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い情報交換をする「診療前相談」が必要です。

主な症状の他、既往歴や健康診断の結果などを確認した上で、オンライン診療に適していると判断されたら受診できます。

重症化リスクがある感染症や緊急性が高い場合は対象ではありません。

オンライン診療の質を高めるには、デジタル機器の活用が有用と渡部先生。

「例えば糖尿病の方の場合、自宅で測定した血糖値の結果を医療機関とその場で共有できる機器を使うことで、より信頼性の高いオンライン診療ができます」。

他にも、高血圧や不整脈に血圧計や心電計などを用いれば体調の変化が伝わりやすくなります。

オンラインでの診療費は、保険診療です。

ただし、診療前相談は医療機関により異なるので事前にご確認を。

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/坂木浩子

 

<教えてくれた人>

中野島糖尿病クリニック 
渡部ちづる(わたなべ・ちづる)先生

株式会社ODL~Our DM Life~代表取締役。東京女子医科大学病院糖尿病センター、虎の門
病院分院糖尿病・代謝科などを経て2020年より現職。糖尿病専門医。

この記事は『毎日が発見』2022年6月号に掲載の情報です。

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