あなたの心臓は大丈夫? 胸が苦しい、脈が飛ぶ...命に関わる場合もある「動悸」の原因と背景にある症状

季節の変わり目や自律神経の乱れ、過度なストレスなどで生じる動悸。もしそれが心臓病の不整脈に関わるものだったら、突然死につながるような病気もあるので注意が必要です。そこで今回は、東京都健康長寿医療センター副院長の原田和昌(はらだ・かずまさ)先生に「動悸の原因」についてお聞きしました。

「動悸」とは、こんな状態です

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  • 脈がとぶことが気になる
  • 心臓が躍るように脈打つ、鼓動が速く感じる
  • ドキドキして胸が苦しい

あなたの「動悸」原因は何でしょう?

□ (1)日ごろストレスが多い方だと思う
(2)どちらかというと貧血気味だ
□️ (3)甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンに異常があると言われたことがある
□️ (4)ちょっと小走りをするとドキドキすることがある
□️ (5)体を動かしているときに、目の前が暗くなることがある

(1)〜(2)に当てはまる人

更年期障害や自律神経のバランスが崩れていることが考えられます。

(3)に当てはまる人

ホルモン異常などによって、血圧や心拍数が不安定になることが考えられます。

(4)〜(5) に当てはまる人

心臓に何らかの異常がある可能性があります。早めに循環器内科を受診しましょう。

緊張したり怒ったりしたときにも「ドキドキ」する心臓ですが、動悸の原因に病気の疑いがあるときには早めに医療機関を受診するようにしましょう。心臓病の疑いがあるときは特に注意が必要です。


小走り中のドキドキ

心臓病のサインかも

お花見のころになると、心臓がドキドキして息苦しいといった動悸に見舞われることがあります。

寝ているときや座っているときにも「ドキン」とすれば、不安な気持ちが膨らみます。

「動悸は季節の変わり目や更年期障害に伴う自律神経の乱れ、過度なストレスなどでも生じます。中でも、注意しなければいけないのが、心臓病の不整脈に関わる動悸です」と原田和昌先生は話します。

心臓は、収縮して血液を送り出すポンプ機能を果たし、その拍動を「心拍」といいます。

心拍数は1分間に約60~100回が正常です。

心臓の動きに関わる自律神経の一つ交感神経は、季節の変わり目や更年期障害、ストレスなどで乱れやすいのです。

心臓の動きが速くなることで「ドキドキ」とした動悸につながりますが、心臓病に関わる動悸が隠れていることがあるのです。

心臓病による動悸は心臓機能の低下のサイン。

突然死につながるような病気もあるので、注意が必要です。

「横断歩道の信号の変わり目で小走りをするなど、体を動かしたときに動悸が始まり、30分~1時間も続くようならば、心臓病の疑いがあります。目の前が暗くなるような状態が伴うと、心室頻拍や心室細動で命に危険が及ぶ可能性があります」と原田先生は警鐘を鳴らします。

心室頻拍は心臓下部の心室の動きが速くなり、さらに心室細動になるとプルプルと震えて拍動しなくなります。

心室細動は心停止の状態で、救命措置が必要になるのです。

「動悸」を感じる
脈の異常は下のように分けられます

[レベル1]基本的には治療不要

(場合によっては治療することもある)

期外収縮

どんな状態?
脈が一定のリズムを刻む中で、ときどき1拍速くなり次に1拍抜ける(予期しないときに収縮する)

洞性頻脈

どんな状態?

単純に脈が速くなった状態。運動後や緊張で起こりますが、安静時に脈が速くなると、動悸として感じることも。脈のリズムは一定。

[レベル2]なるべく早めに治療が必要

心房細動

どんな状態?

心房がプルプルと細かく震え、脈もバラバラになる。70歳を超えると10人に1人以上がなると言われている一般的な不整脈。脈の乱れにとどまらず、心臓内の血流が乱れ、血栓ができやすくなる。できた血栓が頭にとぶと脳梗塞を起こすことも。

発作性上室性頻拍、心房粗動など

どんな状態?
心臓内に異常な電気回路ができることで、リズムが一定の頻脈発作が起こる。

[レベル3]すぐに治療を始めるべき!

心室頻拍、心室細動

どんな状態?
心臓のいちばん重要な心室が細かく震えてしまい、うまく血液を全身に送り出せなくなる。その結果、脳や冠動脈などの血流が不足し、気を失って倒れたり、最悪命を落とすことにも。

心臓を動かす刺激伝達系(鼓動を生み出す)の仕組み

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心臓は心筋に伝わる電気信号で拍動します。その電気信号を生み出しているのが、右心房の
洞結節。心房に電気信号が伝わった後に心臓下部の心室に伝わることで心臓が動きます。

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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

<教えてくれた人>

東京都健康長寿医療センター副院長
原田和昌(はらだ・かずまさ)先生
1985年東京大学医学部卒。米国ハーバード大学研究員、東京大学医学部附属病院などを経て2012年より現職。日本循環器学会循環器専門医、日本高血圧学会専門医など。

この記事は『毎日が発見』2022年3月号に掲載の情報です。

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