感染症シーズンに要注意! 自己免疫力のアップには「NK活性」の向上がカギ

感染症を予防する「免疫」の中でも、自ら高められるのが自然免疫です。そこで今回は、順天堂大学大学院 医学研究科研究基盤センター 細胞機能研究室 准教授の竹田和由(たけだ・かずよし)先生に「免疫力アップのカギ『NK活性』」についてお聞きしました。

自分で高めることができる「自然免疫」

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免疫力を左右するNK活性

日々の習慣で高められます

感染症が流行する季節です。

これらを予防する「免疫」の仕組みには、自然免疫、獲得免疫の2つがありますが(上記)、自分で高められるのが自然免疫です。

「自然免疫は、さまざまな免疫細胞により機能していますが、中でも免疫力の指標の一つとされているのが、最前線で働く『NK細胞(※)』。その力は『NK活性』と呼ばれ、日々の食事や習慣などに影響を受けて変化します」と竹田先生。

NK活性を高めれば、免疫力が高まるといいます。

これにはヨーグルトなどの発酵食品を摂ることなどが有効。

感染症予防のため、生活に取り入れてみましょう。

「NK細胞」の主な特徴

  • 「自然免疫」の中でも最前線で働く
  • 活性の度合いを「NK活性」といい、免疫力の指標の一つ
  • 活性の力は生まれつきの体質や遺伝などにより個人差がある
  • 活性の力は季節やその日の体調などにより変動する
  • 活性の力が最も高いのは20代。加齢により低下し、50~60代になると20代に比べて半分以下に

「NK細胞」が活性化する生活習慣

(1)食事は「バランスよく」が基本

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まずは、細胞のもととなるたんぱく質、エネルギーのもととなる糖質や脂肪、ビタミンなどの栄養素をバランスよく摂り、体内の細胞を健康的に保つこと。「その上で直接免疫力を上げるヨーグルトなどの食品(下記2参照)を摂らないと意味がありません」(竹田先生)

(2)ヨーグルトなどの発酵食品を摂る

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ヨーグルトなどの発酵食品や、食物繊維の一種「β-グルカン」を含むきのこ類は、免疫細胞に働きかけ、NK細胞を活性化させるといわれています。特にR-1乳酸菌を使ったヨーグルトはヒト試験でのデータもあり、おすすめ。2〜3週間以上続けて摂ると効果的です。

【R-1乳酸菌を使用したヨーグルトで風邪をひくリスクが低下!】

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山形県・舟形町57人、佐賀県・有田町85人の高齢者を対象に、風邪罹患リスクを比較。それぞれを2群に分け、半分はR-1乳酸菌を使用したヨーグルト1日90gを、もう半分は牛乳1日100mlを8週間または12週間摂取したところ、対照と比べ、R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取した群の風邪をひくリスクが半分以下に低下したという結果が出ました。

※出典/British Journal of Nutrition(2010)を一部改変

(3)運動をして基礎体力をつける

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「いい汗かいて気持ちいいな」と楽しくできる運動を週2〜3回行いましょう。「運動後、免疫機能は一時的に下がるものですが、習慣的に続けると徐々に筋肉がつき、心肺機能が上がるため、体づくりの面ではとても大事。無理なくできる程度であれば、免疫と体力どちらも維持できるでしょう」

(4)がんばり過ぎない程度に規則正しく

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生活リズムが崩れ、過度なストレスを感じることは、免疫力を下げる要因の一つ。「必ずしも『早寝早起き』ということではなく、自分なりの時間で、リズムある生活を送ることが大切です。そのポイントとなるのが、起床・就寝、食事の時間。決めると、一日のリズムを取
りやすくなります」

(5)オンとオフをしっかり分ける

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「免疫力が最も上がるのは、何か一つのことをやり終えて達成感や爽快感を感じるとき」と竹田先生。仕事や家事などやるべきことはがんばり、休むときはしっかり休みましょう。オンもオフもだらだらと過ごさず、自分のタイミングで差をつけてメリハリのある生活を。

取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/タチバナ*ミー

 

竹田和由(たけだ・かずよし)先生
順天堂大学大学院 医学研究科研究基盤センター 細胞機能研究室 准教授。専門は免疫学。アメリカの大学やオーストラリアの研究施設での研究活動、客員准教授などを経て現職。

この記事は『毎日が発見』2022年2月号に掲載の情報です。

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