骨を弱くする原因として、近年注目されている糖化。糖質の摂り過ぎが主な原因なので、パンや果物、いも類をよく食べる人は要注意です。しかも、一度糖化してしまうと改善が難しく、骨を作り替える代謝も遅くなるといいます。 そこで今回は、大友外科整形外科 院長の大友通明(おおとも・みちあき)先生に、「骨の糖化」についてお聞きしました。
糖質の摂り過ぎが引き起こす骨の「糖化」
骨を弱くする原因として、近年注目されているのが「糖化」です。
「糖化とは、体の中の余分な糖分がたんぱく質と結びついてAGEs(糖化最終産物)という老化物質を作り出す反応です。このAGEsは血管や皮膚を老化させる要因の一つですが、骨にも影響を与えます」と、大友通明先生。
たんぱく質を主成分とする骨のコラーゲンを劣化させ、白い骨を褐色に変色させてしまうのです。
糖化を招く主な原因は、糖質の摂り過ぎです。
高血糖の人も糖化が進みやすいので要注意。
「一度糖化してしまうと改善は難しく、骨を作り替える代謝も遅くなると考えられています。普段から糖質を摂り過ぎない食べ方を心がけましょう」(大友先生)
骨粗鬆症につながる骨の糖化とは?
《こんな人は要注意!》
● 食事はご飯、パン、麺などの糖質が中心(特にパンが多い)
● 果物をよく食べる(特にバナナ、りんごなど)
● 野菜はトマトやかぼちゃ、いも類が好き
鉄筋に当たるコラーゲンが骨の強さに大きく影響
糖化が起こるコラーゲンは、骨の体積の半分を占める主成分です。
骨の仕組みは鉄筋コンクリートに似ています。
鉄筋に当たるのがコラーゲン、その周囲を覆うコンクリートがカルシウムです。
実際の建物と同じく、鉄筋が弱いと構造全体ももろく、壊れやすくなってしまいます。
「糖質をコントロールし、骨に必要な栄養素を摂って、コラーゲンの糖化を防ぐことは、健康な骨を保ち、骨粗鬆症にならないための大きなポイントです」(大友先生)
骨の基本
骨質:建物で例えると「鉄筋」の強度
骨密度:建物で例えると「コンクリート」の密度
【もろい骨】
カルシウムが十分でなく、コンクリート部分がスカスカの状態。
鉄筋に相当するコラーゲンの状態も悪いため、全体的にもろく、折れやすくなっています。
【強い骨】
コラーゲンが建物の「鉄筋」のように、カルシウムから成る周囲の「コンクリート」部分を支えています。
コンクリート部分のカルシウムも十分で、骨密度が高い状態です。
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/坂木浩子