70歳以上の2人に1人はかかると言われる脊柱管狭窄症。背骨の変形などから脊柱管が狭くなって神経が圧迫され、血流が滞って神経の働きが低下することで、腰や足などに不調が生じてしまいます。今回は、早稲田大学スポーツ科学学術院教授、整形外科専門医の金岡恒治(かねおか・こうじ)先生に「脊柱管狭窄症の症状を和らげる方法」についてお聞きしました。
下半身に不調が起こる脊柱管狭窄症
「70歳以上の2人に1人はかかる」と言われているのが脊柱管狭窄症。
脊柱管は、背骨、黄色靱帯、椎間板などに囲まれた筒状の空洞になっていて、中を神経が通っています。
「加齢による背骨の変形などから脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで血流が滞ります。そのために神経の働きが低下して、腰や足などに不調が生じるのが脊柱管狭窄症です」と金岡先生は話します。
症状は人によってさまざまです。
急に症状が現れることはまれで、徐々に進行していきます。
足や腰に症状があっても、椎間板ヘルニアや糖尿病神経障害との区別が難しく、専門医でも脊柱管狭窄症かどうか、診断に迷うことがあるといいます。
「気になる症状が現れたときは、受診をして治療を開始します。一緒に運動療法を行えば、軽減するケースが少なくありません。次から始まる脊柱管1分体操を取り入れて、症状を和らげましょう」
腰と足の気になる症状は?
足が痛い
脊柱管が狭まると、その中を通っている神経が圧迫されて、太ももやお尻、ふくらはぎなどに痛みが現れます。
腰が痛い
背骨の腰の部分を支える筋肉が弱くなると骨が変形し、立ち上がるときなどに神経が圧迫されて腰が痛みます。
足にしびれを感じる
神経の通り道である脊柱管が狭くなることが原因。両側のお尻から足にかけて、広い範囲にしびれが出ます。
長い時間歩けない
骨盤が前傾して脊柱管が狭くなり、短い距離を歩いただけで、しびれや痛みが出ます。少し休めばまた歩けます。
尿漏れ・便秘
神経の圧迫がさらに進行すると、しびれや足腰の痛みなどの症状が悪化。排尿、排便の障害が起こります。
でも!
運動することで改善します
症状の改善には、強い痛みがある場合を除き、体を積極的に動かすことが大事。
これから紹介する「腰をゆるめる」「筋肉を強める」「骨盤を動かす」の3つの運動を取り入れます。
【次回】腰をゆるめて「脊柱管狭窄症」を改善へ! 1セット1分、1日3セット「脊柱管1分体操」
【まとめ読み】特集「脊柱管狭窄症を改善する『1分体操』」記事リスト
取材・文/松澤ゆかり イラスト/秋葉あきこ