足に謎のボコボコができたり、青い血管がウネウネしたりするなど、下半身の見た目に大きく影響する「下肢静脈瘤」。軽症の場合、セルフケアで症状を軽くすることができます。今回は、お茶の水血管外科 クリニック院長の広川雅之(ひろかわ・まさゆき)先生に、「むくみやだすさを改善するマッサージのやり方や弾性ストッキングのはき方」を教えてもらいました。
【前の記事】足に謎のボコボコ、青い血管がウネウネ自分で治す「ゴキブリ体操」
むくみやだるさを改善して足スッキリに
「『ゴキブリ体操』は、『毛管運動』ともいい、治療に取り入れている医師も多くいます。毛細血管は体の隅々まで酸素や栄養を運ぶ役割をしているので、それを活性化させることは、全身の血液循環をよくすることになります」と広川先生。
下肢静脈瘤の原因は足の静脈の弁が壊れて、血液がたまってしまうこと。
ゴキブリ体操は下肢静脈瘤以外に、高血圧、低血圧、冷え性、便秘などにも効果があるといわれています。
足マッサージのやり方
昼間と夕方、または夜など1日2 回行いましょう。
ひざから上と、ひざから下に分けてさすります。
(1)いすに浅く腰かけるか床に座って、片方のひざのやや上に両方の手のひらを当てて覆います。
(2)ひざから足の付け根に向かって、手のひら全体を足に密着させるように太ももをさすります。付け根まできたらひざに戻り、再び足の付け根までさすります。これを1分ほど繰り返します。
(3)(1)と同じ足の足首に両手を当てます。
(4)足首からひざに向かって、太ももと同じようにふくらはぎをさすります。手のひら全体を密着させ、皮膚の表面をこするような感じで、一方通行で動かしましょう。これを2分ほど繰り返します。片足が終わったら、反対側の足も同じように太もも→ふくらはぎの順番にマッサージを行います。
「上の下肢静脈瘤を改善するマッサージは、『リンパドレナージ』がもとになっています。リンパドレナージとは、フランス語で『リンパ排出』のこと。おもに、がん治療の合併症である『リンパ浮腫』に対処するために医療現場で行われています。やさしくさするようなマッサージで、リンパ液の循環と老廃物の排出を促します。下肢静脈瘤ではなくても、足がだるかったり、むくみがつらいという方もぜひ行ってください」
また、弾性ストッキングも効果的です。
足首にいちばん強い圧力がかかり、上に向かって圧力が弱くなる段階的圧力構造で、締めつける力によって、足に滞った血液の流れを促します。
弾性ストッキングには、ドラッグストアなどで購入できる市販品と、医療機関で処方される医療用の2種類があります。
むくみやだるさが軽ければ、まず市販品を1~2週間試してみて、効果がなかったり悪化したりした場合は医療機関の受診を。
弾性ストッキングのはき方
(1)ストッキングの中に手を入れて、内側からかかとの部分をつまみます。
(2)かかと部分をつまんだまま、ストッキングをかかと部分までひっくり返したら、かかとが下になるようにして、はき口を左右に広げます。
(3)広げたはき口に足を入れてストッキングと足のかかと部分を合わせます。
(4)裏返した部分を両手で持ち、ひざに向かって表に返しながらはきます。
(5)全体にシワが寄らないように調整します。
《選び方3カ条》
1.はきやすいタイプを選ぶ
ハイソックスタイプ、ストッキングタイプ(太ももまで)、パンストタイプ(おなかまで)があります。効果に大きな違いはありません。はきやすいのはハイソックス。
2.ピッタリサイズを選ぶ
足首やふくらはぎの太さを測り、各製品のサイズ表にしたがって選びます。足首とふくらはぎで選ぶサイズが違う場合は足首の太さに合わせましょう。
3.圧力の強さを選ぶ
圧力は弱圧~強圧があります。中圧が基本ですが、初めてはく場合は弱圧から試すのがいいでしょう。
※ mmHgもhPa(ヘクトパスカル)も圧迫圧単位で、併記されている場合が多いです。
撮影/木下大造 モデル/竹田麻衣