足に謎のボコボコができたり、青い血管がウネウネしたりするなど、下半身の見た目に大きく影響する「下肢静脈瘤」。軽症の場合、セルフケアで症状を軽くすることができます。今回は、お茶の水血管外科 クリニック院長の広川雅之(ひろかわ・まさゆき)先生に、「足の血流を改善し筋力がつく体操のやり方」を教えてもらいました。
足の血流を改善し、筋力がつく2つの体操
足の血管がボコボコと浮き出たり、つらいむくみが起こる下肢静脈瘤。
その治療法には2種類あります。
一つは血管を直接処置する治療。
これは医療機関で行います。
もう一つは体操やマッサージなど自分で行うセルフケアです。
「実は、下肢静脈瘤と診断されても軽症から中等症であれば、セルフケアで治したり症状を軽くしたりすることができるのです。私のクリニックにいらっしゃる患者さんも、約8割の人は軽症で治療が必要なかったり、セルフケアで症状が軽くなります。そのため、診察に来るのは初診の1回だけという方も多いのです」と広川先生。
まず基本の体操から行ってみましょう。
基本のゴキブリ体操
下肢静脈瘤が気になったらまずはこの体操を始めましょう。
抜群の効果が期待できます。
(1)あおむけになって足は肩幅に開き、両手は体の脇に置きます。
【Point】
できるだけ体の力を抜いて、リラックスした状態で始めましょう。1日の締めくくりに、夜寝る前に布団の上で行うのもおすすめです。
(2)両手・両足を天井に向けて上げます。手と足は床に対して垂直になるようにして、30~60秒間、手足をブルブルと小刻みにゆすります。これを3回繰り返します。
【Point】
手足に力を入れないよう、できるだけ脱力して手首や足首を小刻みにゆすりましょう。
逆自転車こぎ体操
足全体を使った体操です。
太ももの筋力を強化し、血液を足から心臓に戻す働きを高めます。
「1、2! 1、2!」と声に出すとやりやすいでしょう。
(1)いすに浅く腰かけて、背もたれに背中をつけます。足は肩幅の広さに開き、両手は座面の脇を軽く握ります。
(2)足を持ち上げて、自転車のペダルをこぐのと逆向きに回します。左右の足を交互に10回転ずつ3セット繰り返します。
体操の3つのポイント
【ポイント1】午後から夕方にかけて行う
足の症状が出やすいのは、午後から夕方にかけて。その時間に行うと効果を実感しやすくなり、続けるモチベーションが高まります。
【ポイント2】こまめに毎日行う
一度やって効果が出ないからとあきらめないで。毎日続けることで症状は改善に向かいます。毎日続けられるよう、1日に行う時間は短くてOK。
【ポイント3】効果がないときは受診する
1カ月以上続けても症状がまったく改善しない、むしろ悪化しているという場合は、別の病気が原因の可能性があるので医療機関を受診してください。
【次回】「下肢静脈瘤」のむくみやだるさを改善!「足マッサージ」と「弾性ストッキング」のはき方
撮影/木下大造 モデル/竹田麻衣