どんな効果があるの? 鼻うがい「4つのメカニズム」とは

皆さん「鼻うがい」って聞いたことありますか? 医学博士・堀田修先生は「上咽頭のウイルスを洗い流してくれるこの『鼻うがい』こそ、ウイルスなどの感染予防の新定番になるはず」と言います。そこで、堀田先生の著書『ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい』(KADOKAWA)より、鼻うがいのチカラや、「痛くない」「手軽な」やり方をご紹介します。

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鼻うがいの4つのメカニズムとは

今まで、鼻うがいについてさまざまなエビデンスをひと通り紹介しました。

ここでは、鼻うがいのメカニズムと効果についてまとめてみます。

鼻から吸い込まれたウイルスや細菌などの病原体、ほこり、花粉、炎症物質などは、鼻腔と上咽頭粘膜に付着します。

それを洗い流して上咽頭を清潔に保つことが鼻うがいの主な目的です。

これ以外に鼻うがいには次のような効果があります。

①鼻咽頭(鼻と上咽頭)の繊毛上皮細胞の働きを良くする

②繊毛上皮細胞からの粘液の過剰な分泌を抑える

③鼻咽頭粘膜のむくみを改善する(高張食塩水の場合)

また、鼻うがいの注目すべき効果として、鼻うがいに用いた食塩水から塩素イオンが上皮細胞に取り込まれ、細胞内で抗ウイルス作用をもつ次亜塩素酸が作られることにより、

④ウイルスの増殖を抑える

ということが報告されています。

●鼻うがいのメカニズムと効果

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鼻うがいによる新型コロナウイルス感染症の予防は、重要なテーマのひとつです。

では本当に鼻うがいで予防できるのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症は人類にとって登場したばかりの病気であり、「新型コロナウイルス感染症を鼻うがいで予防する」という取り組みの報告はまだありません。

ただ新型コロナウイルスも基本的には風邪を引き起こすウイルスなので、鼻うがいで風邪が予防できるかどうかが鍵を握るでしょう。

風邪に対する「治療」としての鼻うがいの報告は、これまで説明したようにいくつかありますが、残念なことに「予防」としての報告はほとんどありません。

予防として毎日の生活に取り入れるほどには、鼻うがいが手軽ではなかったからかもしれません。

そこで、鼻うがいの風邪予防効果のヒントになる報告を紹介しながら、その可能性について考えてみます。

【研究5】風邪予防には、ヨード液でなく水道水でのガラガラ口うがいがおすすめ(SatomuraK2005)

私たちが手軽に行ううがいといえば、日本人が伝統的に(特に風邪が流行する季節に)行っている「ガラガラ口うがい」です。

このガラガラ口うがいの風邪予防効果を科学的に実証したのは、京都大学の川村孝氏らの研究チームです。

この研究チームは2002~2003年にかけての冬に、北海道から九州まで全国18地域で、うがいの風邪予防効果を検証しました。

この研究ではボランティアを387人募り、「水でうがいをする群」「ポビドンヨード製剤(ヨード液)のうがい薬でうがいをする群」「うがいをしない群」に分けました。

水、またはヨード液でうがいをする群には、15秒×2回のうがいを1日3回行うことを2カ月間続けてもらい、風邪の発症状況を追跡調査したのです。

その結果、「水でうがいをする群」は「うがいをしない群」に比べて、風邪の発症率が40%も抑えられたことが確認できました。

一方、「ヨード液のうがい薬でうがいする群」は、風邪の発症率の抑制が12%程度にとどまっていて、「うがいをしない群」に比べて統計学的に有意な抑制効果が認められませんでした)。

●ガラガラ口うがいは水で行うと効果的

hanaugai_003_052.jpg水でうがいした方がヨード液でうがいするよりも風邪の発症率が抑えられた。(Satomura K 2005)

水でのうがいに風邪を抑制する効果がみられた理由として、研究チームは次の2点を挙げています。

① うがいをするときに口の中で起こる水の乱流によって、ウイルスそのものやウイルス感染を引き起こしやすくする物質(たんぱく分解酵素)が洗い流される

② 水道水に含まれる塩素が何らかの効果を発揮するまた、ヨード液のうがい薬でうがいをしても水のような効果が出なかったことについては、のどに常在している細菌叢(特定の環境で生育する細菌の集合)をヨード液が破壊して、風邪ウイルスの侵入を許したり、のどの正常な細胞を傷つけたりすることが原因として考えられる、としています。

【研究6】子どももガラガラ口うがいで風邪を予防できる(NodaT2012)

研究5の論文が出た後で、福岡の2~6歳の小児1万9595人を対象として、かなり大規模な「ガラガラ口うがい」の風邪予防の効果(発熱の頻度)を検証した研究が報告されています。

これは「非ランダム化前向き試験」といって、これから生じる現象を観察していく研究です。

その結果、水道水、食塩水、緑茶、機能水のいずれかを使用して「うがいをした群」(1万5859人)は、「うがいをしなかった群」(3736人)に比べて、20日間の観察期間中に発熱した頻度が、有意に少なかったことが確認されました。

風邪予防の手段として、どういうわけか最近、厚生労働省もマスコミもあまり取り上げなくなった「ガラガラ口うがい」ですが、ある程度の風邪予防効果があると考えるのが妥当だと私は思います。

【まとめ読み】『痛くない鼻うがい』記事リスト

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簡単鼻うがいで、感染症からしっかり身を守れる方法を、6章にわたって分かりやすく解説

 

堀田修(ほった・おさむ)
防衛医科大学校卒業、医学博士。医療法人モクシン堀田修クリニック院長、認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長、IgA腎症根治治療ネットワーク代表、日本腎臓学会評議員。

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『ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい』

(堀田修/KADOKAWA)

新型コロナウイルスを撲滅するのは難しく、「いかに感染を防いで共存するか」に注目したいこの時代。マスク、手洗い、密を避ける、換気といった従来の予防策に加え、上咽頭のウイルスを洗い流してくれる「鼻うがい」こそ、感染予防の新定番になるはず。withコロナ時代における、注目の一冊です!

※この記事は『ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい』(堀田修/KADOKAWA)からの抜粋です。
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