患者&予備軍が700万人に上るといわれ、痛みとともに手指が曲がってしまう難病の「関節リウマチ」。これまで「不治の病」と思われてきたこの病気の治療法は、実は新薬の登場で劇的に変化しているのだそうです。そこで、10万人の患者を救ってきたリウマチの専門医・湯川宗之助さんの著書『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA) より、「リウマチを治すための最新情報」をご紹介します。
毎日のバランスのいい食事が健康づくりの要になる
「病院での治療」、「ゆるストレッチ」に加えて、関節リウマチを治すには「正しい生活習慣」も欠かすことができません。
それは、「普段の生活でも関節リウマチのためになることをする」ということです。
いいことは取り入れ、悪いことは改めるようにしていけば、薬やゆるストレッチの効果も上がりやすく、心身の健康度が全体的にアップします。
これから、いくつかのポイントをご紹介しますが、一度にすべてを実践しなくても大丈夫です。
できるところから始めていきましょう。
鉄分が豊富な食材で貧血を予防
生活習慣というと、まず最初に頭に浮かぶのは食事ではないでしょうか。
患者さんから、「何かこれを食べるといいという食材はありますか?」と聞かれることもよくあります。
食事から摂取する栄養は、もちろん健康づくりの要です。
ですから、気をつけようと意識するのはいいことですが、関節リウマチにとって「特にこれはいい」「これは悪い」という食材はありません。
三食バランスよく、おいしく食べることを心がければ十分です。
それでも、あえて食べ物のポイントを挙げるとするなら、関節リウマチの発症割合の多い30~50代の女性なら、鉄分が不足しないように気をつけるといいでしょう。
なぜならその年代の女性は、鉄欠乏性の貧血になりやすいからです。
関節リウマチと併発しやすい貧血は、厳密に言うと、この鉄欠乏性貧血とは違う種類の貧血で、炎症性サイトカインが発端になっている貧血(慢性炎症性貧血)です。
しかし、広い意味での健康効果を考えると、30~50代女性が鉄摂取を意識するのはいいことです。
以下の食品に多く含まれていますから、参考にしてください。
[鉄分が豊富な食材]
深酒はリウマチ悪化につながるので要注意
お酒やタバコ、サプリメントは、食事ではありませんが、口から摂取して体内に入るものです。
患者さんから質問を受けることも多いので、簡単にご説明しておきます。
一般によく言われるように、少量のお酒なら血流がよくなり、関節リウマチにも悪影響はありません。
飲まないですむのであれば、そのほうがいいのですが、グラス1~2杯程度のアルコールを楽しむのなら、特に気にしなくてけっこうです。
しかし、アルコールを大量に飲んでしまうと、免疫システムに異常が起こりやすくなります。
また、体内のアルコール濃度を薄めるため、細胞の中から水分を引っ張るメカニズムが働いて、脱水症状(細胞内脱水)が起きます。
すると、治療薬の副作用が現れやすくもなります。
つまり、深酒は関節リウマチの悪化につながるので、要注意ということです。
ですから、お酒はほどほどにしておきましょう。
合併症のリスクを下げるためにも禁煙を
タバコは、関節リウマチ発症の確率を高め、薬の副作用が現れる確率も高めてしまうことがはっきりしています。
お話ししたリウマチ因子(リウマトイド因子/RF)では、「喫煙歴がある」「喫煙している」という人の場合、そうでない人と比べ、男性で2~3倍、女性でも1・2~1・3倍の発症率となっています。
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そのうえ、間質性肺炎など、関節リウマチの合併症を誘発する危険因子でもあるので、もしも喫煙者であるなら、禁煙するに越したことはありません。
ですから当院では、患者さんを含めた家族全員の禁煙を勧めていますし、家族内で喫煙者がいる場合には、そのかたに屋内で吸うことを控えてもらうようにお伝えしています。
イラスト/松野 実
関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイスを5章にわたって解説