40代以上で「放置」している人が多いんです! 年々増加傾向の「脂質異常症」撃退のカギ

「脂質異常症」をご存じでしょうか? 国内に200万人以上の患者がいるといわれ、自覚症状がないため、放置していると脳や心臓の重篤な疾患につながる、ちょっと厄介な病気なんです。そこで、東海大学医学部付属東京病院 健康管理学准教授の岸本憲明先生に「脂質異常症を撃退する生活習慣」について教えていただきました。

前回の記事:「血栓」の最大の元凶です。放置しちゃダメ!「脂質異常症」の基礎知識

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見直しのコツを知り、おいしく食べて改善

「中性脂肪の改善では、食べる量(イン)と、体を動かしてエネルギーを消費する量(アウト)のバランスを考えることが大切になります。中性脂肪がたまりやすい人は、インとアウトのバランスが悪いのです」と岸本先生は話します。

食べるのが人生の楽しみという人は、動かなければ「イン」が多くなりがちです。

食べた後に1時間の散歩をするなど、「アウト」の量を増やすことが大切になります。

「コロナ自粛で外出の機会が減り、体重が増えたという人もいるでしょう。そのようなときに中性脂肪も増えていきます。多量飲酒でも中性脂肪がたまりやすくなるので、お酒も飲み過ぎないように心がけましょう」と岸本先生。

一方、悪玉コレステロールの値が高いときには、動物性脂肪の摂り過ぎが原因のことがあります。

鶏肉を油で揚げたから揚げや、メンチカツ、豚バラ生姜焼きなどに舌鼓を打っていると、悪玉コレステロールはたまりやすくなるのです。

中には、オリーブ油など植物由来の油で、炒め物や揚げ物をしている方もいますね。

実はそこにも落とし穴がありました。

「オリーブ油、エゴマ油、アマニ油のいずれも約10%程度の動物性脂肪が含まれています。健康に良いといわれる油も、食べ過ぎれば悪玉コレステロールの後押しをしてしまうのです」と岸本先生。

カルシウムたっぷりの牛乳や、腸の働きを助けるヨーグルトなども、「脂肪ゼロ」の商品を選ばないと、動物性脂肪を摂ることにつながります。

「食べたいときには食べましょう。その後、数日は控えてバランスを取りましょう」と岸本先生はアドバイスします。

バランスを取ってコロナ太りも解消しましょう!

脂質異常症になりやすい人は?

・いつもおなかいっぱい食べないと気が済まない
・運動することが、あまり好きではない
・肥満、やや太り気味である
・喫煙の習慣がある
・お酒が好きで、つい飲み過ぎてしまう
・いつもストレスを感じる
・親、きょうだいに動脈硬化、脂質異常症の人がいる

脂質異常が進むと血管の中ではこんなことが!

1.悪玉コレステロールが血管壁へ入り込む。小型の方が入りやすい

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2.悪玉コレステロールが活性酸素などで酸化されて血管を傷つける。

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3.酸化した悪玉コレステロールの死骸がコブを形成し、破れて血栓となる2010_P088_03.jpg4.血栓が大きくなってくると血管が詰まり異常が生じる。

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脂質異常症の患者数は年々増加傾向にあります!


脂質異常症の総患者数の推移

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脂質異常症の総患者数は、約20年で倍増しました。その理由は動物性脂肪のとり過ぎと運動不足が指摘されています。また、加齢に伴い脂質異常症の患者は増加し、40代で放置している人が多いことも増加の後押しをしています。

厚生労働省/国民健康栄養調査報告および総務省/人口総計平成8(1996)年-平成26(2014)年厚生省・厚生労働省患者統計


【脂質異常症の人は】
食事と運動を見直して、自分なりに「イン」と「アウト」のバランスを取りましょう!

《イン(食事):体内に栄養を取り入れて、活動の源となります》

●肉の脂、動物性脂肪は控える

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肉類は脂身の少ない赤身を選び、脂肪の摂り過ぎに注意しましょう。メンチカツやから揚げなども、食べ過ぎは×。肉の炒め物にも注意を。

●脂は体に良いもの&調理に工夫を

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オリーブ油やエゴマ油、アマニ油など、動物性脂肪以外の油を活用しましょう。ただし、食べ過ぎると逆効果になるので適量にとどめて。

●乳製品は脂肪分の少ないものを

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「脂肪ゼロ」などの商品を選ぶようにしましょう。

●鶏卵と魚卵は週に2回程度

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どうしても食べたいときには週2回程度を心がけて。

●そのほか
多量飲酒も×。バターを使った菓子類も要注意。

《アウト(運動):有酸素運動が効果的》

●3密を避けながら1日30分~1時間ほど歩く

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運動不足がいちばんよくありません。食事をしたら体を動かすために歩きましょう。

【目安は「ややきつい」くらいで】
人と会話ができる程度でちょっときついと感じるような運動量が目安。ハード過ぎるのも避けて。

●手軽に階段の上り下りを1フロア分

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エスカレーターやエレベーターをなるべく使わないことも、手軽な運動になります。

例えば

・食べることが好きならば、食後に1時間の散歩をする。(食べたいならば、なるべく体を動かすようにする)

・旅行や外食などで、どうしてもイクラ丼やすき焼きなどが食べたいときは食べる。その代わり、翌日から3日間は魚卵や脂の多い肉を食べないようにする。

・晩酌は、例えばビール1缶と焼酎と水割り1杯なら、どれかひとつに。翌朝は散歩。

など

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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

<教えてくれた人>
東海大学医学部付属東京病院 健康管理学准教授
岸本憲明(きしもと・のりあき)先生
1996年東海大学医学部卒。北海道大学大学院医学研究科博士課程修了。北海道医療科学センターなどを経て2019年より現職。脂質異常症や動脈硬化などが専門。

この記事は『毎日が発見』2020年10月号に掲載の情報です。

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