特定健診の項目に2018年度から加わった「non - HDL(ノンコレステロール)」。動脈硬化の指標となる血中コレステロールのバランスをより正確に調べることができ、動脈硬化のリスク管理に役立つと期待されています。栗原クリニック 東京・日本橋院長の栗原 毅(くりはら・たけし)先生にお聞きしました。
総コレステロールからHDL(善玉)コレステロールを引いた値を、non-HDLコレステロールと呼びます。
血液中には、LDL(悪玉)コレステロールとは別に、中性脂肪が含まれるリポタンパクや、脂質異常によって現れるレムナントなどの悪玉がひそんでおり、それら全てを含めた悪玉の量を表すのがnon-HDLコレステロール。
動脈硬化のリスクが総合的に分かる指標であり、知っておくと予防につながります。
「特に中性脂肪が高い人は、LDLコレステロールとnon-HDLコレステロール両方の目標値を達成することで、心筋梗塞や脳梗塞など、動脈硬化が引き起こす病気のリスクを減らせます」と、栗原毅先生。
non-HDLコレステロールは高いほど動脈硬化のリスクが増します。
予防には、食事の改善が必要です。
「動脈硬化はLDLコレステロールのほか、中性脂肪が高いことも大きな原因に。麺、ご飯、パンそれにお饅頭や果物など糖質の摂り過ぎには要注意です」。
運動も効果的だと栗原先生。
「筋肉を増やす簡単な筋トレをすると、余分な内臓脂肪や皮下脂肪を効率よく燃やせます。おすすめは、朝晩のスロースクワット。5秒かけてひざを曲げ、5秒かけてゆっくりひざを伸ばします。朝晩5回ずつ行えば、2週間ほどで効果を実感できます」。
検査でコレステロールが正常でも、non -HDLコレステロールでは異常な場合も。
一度、見直してみましょう。
non-HDLコレステロールとは?
[ 総コレステロール ]―[ HDL(善玉)コレステロール ]= 【non-HDLコレステロール】
※1 小型LDL(超悪玉)コレステロールは、LDLコレステロールの中でも特に小さな粒子で、血管の中に入り込み、より動脈硬化を引き起こしやすいとされています。
検査数値の目安
※日本動脈硬化学会のガイドラインより
・高non-HDL-C血症:170mg/dL以上
・境界域高non-HDL-C血症:150~169mg/dL
⇒170mg/dL以上は、脂質異常症と診断されます。
その他の脂質異常症の判定値
・LDLコレステロール:140mg/dL以上
・HDLコレステロール:40mg/dL未満
・中性脂肪:150mg/dL以上
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取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/坂木浩子