40歳から年1回! 9割の人が異常を指摘される「特定健診」の活用術

皆さんは「特定健診」をご存じですか? 40~74歳の人を対象に、日本人の死亡原因の約6割を占める「生活習慣病の予防のため」に年1回実施される健診です。実に90%以上の人が「何らかの異常」を指摘されると言いますが、ほったらかす人も多いのだそう。そこで、栗原クリニック東京・日本橋の栗原 毅(くりはら・たけし)先生に、この「特定健診」の基礎知識から、活用法までお聞きしました。2007_P066_01.jpg

1.特定健診とは

●40歳から74歳までの人が対象

●年1回、市区町村や健保組合が実施
●生活習慣病を早期に発見
●生活習慣病の発症リスクの度合いによって、改善の支援が受けられます
●継続して健康状態を把握できます

9割がひっかかる?再検査も受けてこその健診

「特定健診では、90%以上の方が何らかの異常を指摘されます。しかし大半は放置され、心筋梗塞や脳梗塞などの病気に一直線。再検査を指摘されても、自覚症状がないからと受けず、そのうちに病気が進行してしまうことも。再検査をすっぽかすことは、自分の命を縮めるだけです」と、栗原毅先生。

新型コロナウイルス重症化のリスクに生活習慣病があげられているいま、私たち世代がひっかかりやすい6つの検査項目に注目しました。

体のサインを読み解き、予防や改善に努めたいですね。

2.特に注意したい6つの項目

①メタボリック

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おなかの中に内臓脂肪がたまると、血中脂質のバランスが崩れて脂質異常症になりやすくなります。また、高血圧や高血糖のリスクも高まり、動脈硬化を一気に進めることにも。「10年後、元気でいたいのなら生活習慣の見直しを。まずは体重を2㎏、腹囲1㎝減を目標にしてください」(栗原先生)。

【メタボリック ここをチェック】

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女性は腹囲(おなか周り)90㎝以上
       +
(1)中性脂肪150mg/dl以上かつ/または HDLコレステロール値40mg/dl未満
(2)収縮期血圧130mmHg以上かつ/または 拡張期血圧85mmHg以上
(3)空腹時血糖値110mg/dl以上
腹囲に加え、どれか二つ以上該当するとメタボリックシンドローム。一つの人は予備軍。


※上記掲載の健診の判定基準値は、女性の数値です。検査機関や方法により、異なる場合があります。この後の各検査項目の基準値も同様です

【メタボといわれたら・・・】

●意識的にもう10回、よくかんで食べる
●夜9時以降は何も食べない
●電車などでは一切座らない
●1日30分、よけいに歩く機会をつくる

②脂質

HDLコレステロール(善玉)とLDLコレステロール(悪玉)のバランスが崩れると、動脈硬化の原因に。「脂質異常の改善に運動を始めると、一時的に総コレステロール値が高くなることがありますが、これはHDLが増えたためで効果が表れている証拠。じきに下がり始めます」(栗原先生)。

脂質異常症になると?

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中性脂肪が多くなると、中性脂肪を運ぶVLDL(超悪玉コレステロール)が増える
増え過ぎたLDLが小型化して血管壁に入り込み、動脈の内腔を狭めていきます

【脂質ここをチェック】

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【脂質異常症といわれたら・・・】

●牛肉、豚肉を控え、魚介類や 大豆製品を増やす
●食物繊維とビタミン、ミネラルをたっぷり摂る
●甘いお菓子や飲料、 果物の食べ過ぎに注意を
●汗が少し出るぐらいの 軽い運動を週3回行う

③血圧

加齢により血管の壁は少しずつ硬くなり、柔軟さを失います。そこに血液が流れると、血管壁にかかる圧力が高くなって血圧が上がりやすくなります。「内臓脂肪がたまると、血圧を上げる物質が分泌され高血圧を助長します。運動や食事、ストレス対策で、内臓脂肪の解消を」(栗原先生)。

血圧が高いと、どんな病気のリスクがあるの?

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【血圧ここをチェック】

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【血圧が高いといわれたら・・・】

●食塩を減らしてカリウムをたっぷり摂る
●毎日20~30分は散歩気分で歩く
●こまめに心の力を抜いて、ストレスをため込まない工夫をする

④血糖

糖尿病のリスクを知るには、ここをチェック。血糖値が高い状態が続くと、血管の柔軟性が失われ、次第に血管がボロボロになります。「糖尿病が怖いのは、全身の血管が老朽化して網膜症や腎症など合併症が起きること。血糖値が高めの人は、食事と運動で減量を。ストレス対策も大切」(栗原先生)。

ストレスを上手に解消して、糖尿病にならない!

ストレスは糖尿病の重要な原因の一つ。こまめに体の力を抜きましょう。

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頭を後ろに倒し、手首と足首を強く曲げ(手足の指先は上に向ける)、全身に力を入れる。2~3秒続けたら力を抜き、元に戻します。床に座り、手と足を前方に伸ばす。

【血糖ここをチェック】2007_P068_04.jpg2007_P068_05.jpg2007_P068_06.jpg

【血糖値が高めといわれたら・・・】

●食事の量を1割減らし、ゆっくり食べる
●主食や甘い飲み物など、糖質を減らす
●1日の食事量を 〈標準体重×30kcal〉にする
●1日10分、歩く量を増やす

⑤肝機能

食べ過ぎ・飲み過ぎによって脂肪肝になる人が増えています。脂肪肝になると、メタボリックだけでなく、動脈硬化が進む恐れも。「従来はウイルス性肝炎から肝硬変や肝がんに進行するのが一般的でしたが、最近は脂肪肝からの進行も少なくありません。飲酒や食習慣の改善で予防を」(栗原先生)

肝臓の病気は、自覚がないまま進みます

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【肝機能ここをチェック】

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【肝機能異常といわれたら・・・】

●まず、B型・C型肝炎のウイルス 検査を受ける
●食べ過ぎに注意をして、 太らない!
●お酒は1週間で7合(日本酒換算) まで。週に2日は休肝日を!

⑥腎機能

腎機能が低下すると、体に必要な成分が尿に混じって排泄されてしまい、疲れやすくなります。また、余分な水分や老廃物が排泄されないため、むくみやかゆみ、しびれが出ることも。「腎臓病がない場合は、高血圧や糖尿病など生活習慣病の疑いも。まずは原因を知ることが大切です」(栗原先生)。

こんな症状があったら腎臓病にご注意!

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尿が泡立つ、濁る、においが甘酸っぱい、刺激臭がある、血尿などは早めに受診を。

【腎機能ここをチェック】2007_P069_05.jpg2007_P069_06.jpg2007_P069_07.jpg2007_P069_08.jpg

【腎機能異常といわれたら・・・】

●まずは腎臓病や他の病気がない かチェックをする
●食べ過ぎを避け、腹八分目で肥満を防ぐ
●十分な睡眠と休養をとる
●水分を十分とって老廃物や細菌を洗い流す

3.その他の「けんしん」

75歳以上の人の健診
腹囲の測定を除き、検査内容は特定健診と基本的に同じです。今年度より、従来の質問票に代わり、運動や食生活の習慣、物忘れの有無など15項目を設けたフレイル予防のための「後期高齢者の質問票」が導入されています。

がん検診
市区町村などの自治体から委託を受けた医療機関などで、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなどの検査を受けられます。がんの早期発見に役立ちます。

取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/タチバナ*ミー 

【参考】『健診から始める健康づくり』栗原 毅監修(社会保険出版社)

 

<教えてくれた人>
栗原クリニック東京・日本橋
栗原 毅(くりはら・たけし)先生
医学博士。東京女子医科大学教授、慶應義塾大学教授などを経て現職。『パッと引けてしっかり使える 検査値の読み方ポケット事典[第4版]』(成美堂出版)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2020年7月号に掲載の情報です。

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