「最近、躓きやすくなったなぁ...」なんてショックを受ける前に、躓かないような体を作りませんか?「体操すれば健康は維持できる」と言う医師・中村格子さんの著書『カラダのおくすり体操』(ワニブックス)から、できない動作ができるようになる「機能的なカラダ」をつくるエクササイズを一部抜粋してお届けします。
日常動作がスムーズにできる「機能的なカラダ」とは?
日常の動作をスムーズにし、生涯元気で動けるカラダをつくるのにまず大切なのは、筋肉や骨、関節などの運動器が、しっかり「機能して動く」ことです。
筋肉は、カラダを動かすときも、動かずに同じ姿勢を保つときも使われています。
日常生活では1つだけの筋肉で行っている動作は1つもなく、必ずいくつかの筋肉が連携してカラダを動かしています。
また、骨や関節も大切な運動器。
関節は骨同士をつなぐジョイント部分で、すべての筋肉は関節をまたぐように存在しています。
カラダを曲げ伸ばししたり、ひねったりという複雑な動きは、複数の筋肉と関節が協力し合ってこそ実現します。
関節はドアの蝶番と同じで、繰り返し使っているとなめらかに動くのですが、あまり使わないとサビつき、動く範囲、つまり可動域が狭くなります。
その結果腕が上げにくくなったり、ひざが曲げ伸ばししにくくなったりします。
さらに、日常動作をスムーズにするには、バランス力や反射力、持久力、心肺機能のほか、関節や筋肉をどの位置や角度に持っていくかを瞬時に判断する「固有感覚」も必要です。
これらの要素がすべて働いてこそ、日常の動作がスムーズにできる「機能的なカラダ」と言えるのです。
「網棚に荷物を上げられない」「長く歩けない」といった不具合は、何らかの理由で「カラダが機能的に動いていない」ために起こります。
その理由の多くは、あなたのカラダに当然あると思っていた力が弱ってきたことなのです。
「おくすり体操」は、その弱ってきた力が何かを特定して、その力を鍛えていくことを目的としています。
「機能的なカラダ」をつくるための7つの力
では、日常動作では具体的にどんなことができれば、一生、元気に動き回って過ごせるでしょうか?
それはとても簡単です。
①疲れずに立てる
②歩ける
③上下にラクに動ける
④腕を上げられる
⑤骨折しない
⑥転ばない
⑦痛まずに座っていられる
という7項目です。
これらができる力が保たれていれば何歳でもほとんどの日常生活は問題なく行えます。
それぞれの力について簡単に紹介すると、まず「①疲れずに立てる力」とは、台所仕事や、電車の中などで立っていてもすぐに疲れずにいられる力のことです。
「②歩ける力」とは、生涯寝たきりにならず、自分の足でしっかりと歩ける力のこと。
「③上下にラクに動ける力」とは、立ち上がったり、しゃがんだりといった上下にカラダを動かすことが、痛みなくラクにできることです。
「④腕を上げられる力」とは、物を持ち上げるときに、痛みなどを感じずに腕を上げられる力、「⑤骨折しない力」とは、ちょっとつまずいたくらいで骨折したりしない力、「⑥転ばない力」とは、小さな段差に足を引っかけて転んでしまったり、何も段差がないところで転んでしまったりしないこと。
「⑦痛まずに座れる力」とは、痛みなどを感じずに座っていられる力です。
いかがでしょう?
これらの力、誰もが1つ以上は、"あ、私、この力、弱っているな"と思い当たったのではないでしょうか。
逆に、これらの力が備わっていれば、機能的にカラダを動かすことができるので、日常動作はスムーズに行えます。
健康維持のためにオススメの10の体操が解説されています。自分の体の弱点が分かるチェックシートも