初夏から夏にかけて日差しが強くなると、増える皮膚トラブル。日焼けのほか、皮膚が腫れる、赤いブツブツが出る、かゆみを伴うなど異常な皮膚反応を起こしていたら、「光線過敏症」かもしれません。そこで、ひふのクリニック人形町院長の上出良一(かみで・りょういち)先生に、「光線過敏症」の原因や対処法について教えていただきました。
原因によって症状やメカニズムが違う
「光線過敏症」は日光に当たって起こるアレルギーが主ですが、様々な原因があります。
別の原因で起こっている「脂漏性皮膚炎」や「皮膚筋炎」などの皮膚病が、光線に当たることで誘発されたり、悪化したりする場合もあり、光線過敏症と思い込んでいる方も少なくありません。
光線過敏症で多いのは「多形日光疹」、「日光蕁麻疹」、「薬剤性光線過敏症」です。
多形日光疹は紫外線の刺激で皮膚中の成分が変化することで起こるアレルギー反応で、日焼け止めで予防することができます。
日光蕁麻疹は日光を浴びるとできる成分へのアレルギー反応です。
可視光線が原因のことがほとんどなので、日焼け止めだけでは予防できません。
強い日光に当たらないことが大切です。
中高年で多いのは、薬剤性光線過敏症です。
貼り薬や内服薬が原因で起こります。
貼り薬では、抗炎症成分ケトプロフェンを含む湿布薬が挙げられます。
はがした後、貼った部位を日光(紫外線)に当てると赤く腫れ、水ぶくれなどを起こします。
貼った部位は、はがした後少なくとも4週間は日光に当てないようにします。
他人から譲られた湿布を使わない、医師から指示された部位以外に貼らないことも大切です。
飲み薬では、チアジド系の降圧利尿薬が配合されている降圧剤が挙げられます。
医療機関と相談して、原因となる薬剤の服用をやめ、1~3カ月間は直射日光を避けます。
光線過敏症の種類とは?
●多形日光疹
[症 状] 紫外線を浴びて約半日後に、赤くて小さい粒状の湿疹とかゆみが出る
[原 因] 紫外線
[対処法] 数日たっても症状が治まらない場合はステロイド薬を外用する
●日光蕁麻疹
[症 状] 肌が赤いミミズ腫れのようになる紫外線の場合もあるが、可視光線がほとんど
[原 因] 紫外線の場合もあるが、可視光線がほとんど
[対処法] 直射日光を避けると症状は治まる。症状が治まらない場合は、抗ヒスタミン薬を服用する
●薬剤性光線過敏症
[症 状]
①湿布薬を貼ったところが赤く腫れ、水ぶくれなど強い症状が出る
②薬を服用後に日光に当たり、顔や首周りに日焼けに似た症状が強く出る
[原 因]
①貼り薬(ケトプロフェンを含む湿布薬など)
②内服薬(チアジド系の降圧利尿薬が配合された降圧剤など)
[対処法] 原因となっている薬の服用や湿布の使用をやめる 1~3カ月は直射日光を避ける
主な予防法って?
・強い日光に当たらないようにする
・日焼け止めを塗る(可視光線では無効)
・肌のバリア機能を保つ
・原因薬剤の使用をやめる
予防のためにできること
日光に直接当たらないことが大切です
・日光が強い時間帯に外出しない
・日焼け止めを塗る
・汗をかいたときにこすらない
・日傘や帽子を使う
・薄手の長袖を着る
・日陰を通る
受診前の簡単テストで診断しやすくなる
かゆみは冷やすと治まります。
かきむしると全身に症状が広がったり、アレルギー反応が強くなったりする可能性もあるので、注意が必要です。
受診する場合は、症状が起きたときの様子(いつから、どのような症状が、いつまで続いたか)を医師に伝えられるよう、事前にメモを用意しておきます。
下に自分でできる簡単なテスト法を紹介したので、やってみてください。
日光を避けることが最も有効ですが、長時間野外にいるときは別として、日常生活に支障を来すほど神経質になる必要はありません。
受診前に試しておきたいテスト
・晴れた日の昼前後に20~30分間、腕を日光に当てる。
・衣類で覆う部分、日焼け止め(SPF50+、PA++++)をしっかり塗る部分、露出する部分に分ける。
《部分ごとに症状をチェック!》
●どのような症状が出たか
全体が赤い、ボコボコと虫刺されのように腫れる、赤いブツブツ、 かゆみ、ヒリヒリ痛いなど
●いつ頃出たか
日光に当てているうちか、時間がたってからかなど
●いつまで続いたか
1~2時間以内、2~3日続いたなど
※日光を当てている間、直後、15分後、夕方、翌日などのタイミングで写真を撮影して、受診の際に持参するとよい。
取材・文/古谷玲子(デコ) イラスト/片岡圭子