専門家に聞きました。知っておきたい「ワクチン3つの知識」

新型コロナウイルスのように、感染症は思わぬところで牙をむきます。O157などの細菌やはしかなどのウイルスは、これまで多くの命を奪ってきました。けれど、かつて猛威を振るった「天然痘」は、18世紀末のワクチンの開発とその後の普及で、20世紀には世界で根絶されました。そこで、年齢を重ねた私たちが、病気を封じ込めるために接種したいワクチンについて、国立感染症研究所の多屋馨子先生にお聞きしました。

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ワクチンを受ける時期は?

インフルエンザワクチンは毎年10~11月以降ですが、風疹など流行時期が定まらない場合は、ご自身の抗体の有無を医療機関で調べてもらいましょう。

イベントなどで人が集まりやすい時期や海外旅行などでは、感染するリスクが高まります。

ワクチンを受けたことがなかったり、抗体がなかったりするときは、ワクチン接種を。

複数ワクチンの同時接種が可能です。持病のある方は主治医にまず相談しましょう。

肝炎のA型、B型、C型は何が違うの?

感染するウイルスの種類が異なります。

A型肝炎はウイルスに汚染された飲み物や食べ物で感染して急性肝炎を引き起こします。

B型肝炎やC型肝炎は輸血や血液製剤など、主に血液を介して感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんにつながるのです。

A型とB型はワクチンがありますが(任意接種で自費扱い)、C型はありません。

ただし、B型肝炎は定期接種で0歳から3回、母子感染予防で受けるときは健康保険で受けます。

主な肝炎とその特徴

●A型肝炎
主な感染経路:経口(食事、口)、性感染
潜伏期間:15~50日程度
慢性化:なし
治療薬:なし
ワクチン:あり

●B型肝炎
主な感染経路:血液、母子感染、性感染
潜伏期間:30~180日程度
慢性化:あり
治療薬:あり
ワクチン:あり

●C型肝炎
主な感染経路:血液、医療行為
潜伏期間:15~180日潜伏期間 程度
慢性化:あり
治療薬:あり
ワクチン:なし

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海外に行くとき、海外からの観光客と接するときは?

諸外国には、黄熱のように日本には存在しない感染症が流行している地域があります。

渡航前に検疫所など予防接種を行う機関へ相談しましょう。

ワクチンの中には数週間後に2回目を接種する必要があるなど、ある程度の接種期間を必要とします。

早めに対応を。

日本へ来る海外渡航者に対しては、日頃の感染症予防として上手にワクチンを活用して、たとえ病原体が持ち込まれても広がらないように予防しておきましょう。

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取材・文/安達純子 イラスト/かたおか朋子

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多屋馨子(たや・けいこ)先生

高知医科大学卒業。大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部附属病院小児科などを経て、2001年国立感染症研究所へ。13年より現職。感染症撲滅のために尽力中。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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