50歳以上は検討を。知っておきたい「帯状疱疹」のワクチン/いま接種すべきワクチンはこれ!

新型コロナウイルスのように、感染症は思わぬところで牙をむきます。O157などの細菌やはしかなどのウイルスは、これまで多くの命を奪ってきました。けれど、かつて猛威を振るった「天然痘」は、18世紀末のワクチンの開発とその後の普及で、20世紀には世界で根絶されました。そこで、年齢を重ねた私たちが、病気を封じ込めるために接種したいワクチンについて、国立感染症研究所の田谷馨子先生にお聞きしました。

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体の片側に激しい痛みが!「帯状疱疹」(たいじょうほうしん)

「帯状疱疹後神経痛」の予防に。50歳以上はワクチンを

過去に水ぼうそうになった人は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節の中に潜伏し、ウイルスを封じ込めた細胞性免疫が弱まったときに再活性化して帯状疱疹になります。

知覚神経に沿ってウイルスが皮膚まで到達するので、激しい痛みと赤い発疹や水疱が生じ、帯状疱疹後神経痛(PHN)という後遺症が残る人がいるので注意が必要です。

最大の予防は、細胞性免疫を上げるためのワクチン接種。

2016年から50歳以上は任意接種で受けられます。

[主な症状]
体の半分の神経痛と神経に沿った赤い発疹・水疱など

[かかりやすい年齢、性別など]
高齢者、免疫力の低下した人で発症しやすい

[感染経路]
過去に水ぼうそうにかかった人が体内に持っている

[接種できる人]
50歳以上が対象

[ワクチンが効いている期間]
明確な答えはまだ出ていない

[およその費用]
1万円前後


そもそもワクチンとは?

感染症の予防に使用する薬のこと。

体内にワクチンで病原体の存在を知らせ、抗体などの武器を作っておくと、病原体が侵入してきても退治できます。

つまり、感染や発病、重症化を予防することができます。

ワクチンは予防の薬として欠かせない存在です。

●ワクチンは病気に対する抵抗力を与える

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病原体を弱くするか、あるいは全くなくした病原体を体内にあらかじめ入れて武器を作るのがワクチン。接種することで予防に必要な抵抗力をつけます。

感染症とは?

ウイルスや細菌などの微生物が、体内に入って感染することで発症する病気。微生物の種類によって、発熱、せき、頭痛などさまざまな症状が出ます。


取材・文/安達純子 イラスト/かたおか朋子

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多屋馨子(たや・けいこ)先生

高知医科大学卒業。大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部附属病院小児科などを経て、2001年国立感染症研究所へ。13年より現職。感染症撲滅のために尽力中。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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