冷え性や生理不順、むくみに便秘...「自分の体質だから」とあきらめていませんか? その悩み、毎日の食事などを少し意識すれば解決するかもしれません。ヒントとなるのは中医学(中国伝統医学)のセルフケア。そこで、東洋と西洋の医学に精通した医学博士・関隆志さんの初著書『名医が教える 東洋食薬でゆったり健康法』(すばる舎)から、中医学をベースにした「不調を治す食事&運動の考え方」を連載形式でお届けします。
©須山奈津希
毎日の生活にとり入れやすいところがいい
中医学で考えられる人の体を構成する3つの要素「気・血・津(水分)」のバランスや、熱の過不足、冷えをよりこまやかにケアしたいときには、自分の状態(証。体質と体調のタイプ)に合った食材を乾燥させ、それにお湯を注いで「食薬茶」を飲む習慣を、日々の生活にとり入れてみるのもおすすめです。
ゆるやかな薬効があり、毎日飲むことで体調が整えられます。体調が整うと、結果として美容にも役立ちますし、なにより手軽です。食薬の食事と組み合わせることで、より高い効果を期待することもできるでしょう。
「漢方」というと、独特のにおいがある生薬のイメージが強いかもしれませんが、「食薬茶」はクコやナツメ、アップルなど、お茶にしてもおいしい食べものを乾燥させてそのまま使う、というものです。中には、すでにハーブティーや漢方薬の材料として、広く利用されている食材もあります。
そもそも「食薬」(中医学を背景にした食事療法)とは、自然界にある食べられる動植物や鉱物のこと。それぞれが特徴的な効能を持っています。
昔から使われている漢方薬も、こうした「食薬=食べるくすり」を組み合わせてつくられているのですが、それらの食薬の中には、じつは私たちがふだんの食事で口にしているものも多くあります。
たとえば、ゾクゾクとした寒気のする風邪に効く漢方薬として有名な「葛根湯」には、生姜、シナモン(桂枝)、ナツメ(大棗:たいそう)、葛クズの根(葛根)といった、通常の料理でも利用されることがある植物が「食薬」として調合されています。
こうした漢方薬の調合と同じようなイメージで、ここまでに解説してきた五気(温めるのか、冷やすのか)や、補う食薬か巡らす食薬か、現在の証(タイプ)に合っているかどうかを考えて、そのときの"自分にとってよいお茶"を飲むのが、「食薬茶」というわけです。
下に、代表的な8つのタイプごとにおすすめの食薬茶のブレンドを掲載しておきますので、まずはここからはじめてみてください。
●血虚〈血不足〉
黒豆、大豆、よもぎ、干し葡萄、なつめ、黒ごま、牛乳
●気虚〈気不足〉
玄米、大豆、タイム、グァバ、セージ、とうもろこし、レモングラス
●陰虚〈水分不足〉
緑茶、白ごま、ラカンカ、ライチ、リンゴ、ナルコユリ、クコの実
●陽虚〈温める力不足〉
紅茶、杜仲、生姜、よもぎ、クローブ、シナモン、フェンネル(小茴香)
●血瘀〈血の滞り〉
黒豆、プルーン、ハイビスカス、ローズレッド(バラのつぼみ)、ウコン、蓮の葉、サフラン
●気滞〈気の滞り〉
シソの葉、ジャスミン、ペパーミント、ローズヒップ(バラの果実)、オレンジピール(陳皮)、ハマナスのつぼみ、ハイビスカス
●痰・湿・飲〈水分滞り〉
ウーロン茶、紅茶、昆布、タンポポ、ドクダミ、アマチャヅル、コーヒー
●熱痰・湿熱〈熱&水分滞り〉
ウーロン茶、緑茶(煎茶)、大麦、ゴボウ、小豆、ハトムギ、ゴーヤ
いつもの食事が"くすり"になる『東洋食薬でゆったり健康法』記事リストはこちら!
理論よりも実践がメイン。4章にわたって体質・体調に合わせたレシピやツボを刺激するエクササイズが写真付きで紹介されています