健康のために「体を動かそう!」と思っても、運動が苦手だからなかなか始められない・・・。そんなあなたにおすすめなのが『指ヨガ』。「指は第2の脳。ヨガの呼吸を合わせれば、体を使ったヨガと同じだけの効果がある」と35年の指導歴を持つヨガインストラクター深堀真由美さんは言います。そんな深堀さんの著書『指だけヨガ~全身ポーズと同じ効果』(大和書房)から、簡単で気持ちよく、健やかな体を手に入れられる「指ヨガのやり方」を連載形式でお届けします。
指を動かすだけ全身ヨガと同じ効果が!
「指だけヨガ」は両手の指を使った動作だけで、ヨガのエッセンスを体感できる画期的なヨガであり、新しい健康増進法です。
中国医学(漢方)やインド伝承医学などで遥か昔から重要視されている「指」。その指を刺激することで、もともと人に備わっている力――免疫力、自然治癒力を高め、全身の気血の巡りや自律神経の働きを促し、身体能力を向上させて心身の調和にアプローチしていくヨガです。「指」を刺激するとは、なにをするのかというと指先を圧の高い状態にするのです。
指先に生命エネルギーを呼び込む
生命エネルギーとは、中国医学(漢方)では「気」、ヨガでは「プラーナ」と呼ばれる「根源的な生命エネルギー」のことで、圧の高いところに集まる性質があります。ですから、生命エネルギーを呼び込むためには、体のどこかに圧の高い場所をつくることが必要です。なお、圧の高いところに生命エネルギーが集まるというのは人体だけではなく、自然一般の法則です。
私の考案した深堀式指だけヨガは、手の指に着目して圧の高い状態をつくりだして生命エネルギーを呼び込みます。やり方は至って簡単。両手の5本の指の腹と腹を合わせて、肩に力が入らない程度に押し合うだけです。
なぜ、指を選んだのか
第1に、指先など体の末端部分は生命エネルギーのチャージの要なので、圧を高めながらエネルギー循環を行うのに適しているから。
第2に、指先は体のなかでも表面積が小さいので、広い部分に比べて圧のかかる密度が高くなり、的確により高い圧を生み出すことができるから。
第3に、左右の手を体の前で合掌することで、背筋がまっすぐになり、体のゆがみが自然に正され、気血がスムーズに流れるようになるから。
第4に、指を動かすと大脳が動く、この連動によって脳の老化防止も期待できるから。
人の体は血行がよくなると末端の細胞までリフレッシュでき、新陳代謝も促進され、さまざまな体の不調の改善が促されます。
体は心という目に見えないものの容れ物でもあります。心のコントロールはなかなか自由になりませんが、心の容れ物である体を正すことで、心にもアプローチすることができます。
各指だけヨガのやり方の後に、その効果に匹敵するヨガのポーズを紹介しました。指先を押し合うだけのヨガに、このポーズのエッセンスが凝縮されているのです。
指ってホントにすばらしい!
基本の指だけヨガのやり方
[効果]気血の巡りをよくし循環を改善して、精神の安定をとり戻し、慢性的疲労感を軽減する。
1.合掌
足を腰幅くらいに開いて立ち、足先を正面に向ける(椅子に座ってもOK)。背筋をまっすぐにして胸の前で両手を合わせ、2~3回呼吸をして心身を落ち着かせる。
2.指を広げる
両手を合わせたまま指を開いて、指と指との間をできるだけ広げる。
3.両ひじを突き出す
肩の力をぬいたまま、両ひじを外側に突き出すように開いて、手首を離し、指先はついた状態で動きを止める。息を鼻から出しきる。
4.これが基本の形
両手の指先をつけたまま、空気のボールをやわらかく持つようにピラミッドのような形をつくる。
5.指どうしを押し合う
指先に力を入れて指どうしを押し合い、圧の高い状態にして大きく深い呼吸、「吸って、吐いて」を5回くり返す。指を離して腕をおろし、息を吐いて肩、腕、指先の力をぬく。
1から5を「1セット」として、これを3セット行う。朝・昼・晩に3セットずつ行うのがおすすめですが、慣れるまでは、朝・昼・晩に1セットずつでもOK。自分の実践しやすい時間帯とセット数をみつけましょう。もちろんこれ以上何回も行っても、問題はありません。
【注意して!】
*肩に力が入って力んでいませんか。肩の力はぬきましょう。
*指先を押し合う指だけヨガの基本の姿勢をとると、自然に背筋が伸びますね。
*指先はきれいに合わさっていますか。
*呼吸を止めていませんか。深くゆっくり呼吸をしましょう。
◎これはNG!
・指の第2関節(指先から2つめの関節)が曲がるほど力を入れないこと。
・指全体をぺたっと合わせないこと。両手の接点はあくまでも指先だけ。
指だけヨガの効果を上げる呼吸法はコレ!
1)最初に、鼻から息を吐ききる。
2)1、2と数えながら鼻から大きく深く息を吸う。
3)3、4、5、6と数えながら息を吐き出す。
*慣れるまではこのリズムを目安として、あとはそのときの体の状態に合わせて無理のない自然なリズムで行ってかまいません。
指だけヨガは指先を押し合うときの呼吸は深くゆったりと行うように心がけてください。肝心なことは体の中心、おへそから約9センチ下の奥(丹田)を意識して、鼻から深く息を吸い、吐くときは鼻か口どちらかやりやすいほうで吐きます。慣れたら鼻から吐くことができるようになります。
6章にわたり、「指ヨガ」の基本から応用、さらに「足指ヨガ」まで、その効果と方法をイラストでわかりやすく紹介。体験者のレポートも