最近、疲れやすい、かぜが治りにくいと感じること、増えてきてません? それ、年齢の問題だけでなく、あなたの「姿勢の悪さ」が原因かもしれません。そこで、医学とフィットネスの観点から、正しい姿勢によって健康をもたらす治療法を考案した鍼灸師・岩井光龍さんの著書『1分で姿勢がよくなる!』(あさ出版)から、「姿勢と健康の関係」を連載形式でお届けします。
ランニングも姿勢が大事
どんな運動も、基本姿勢が大切です。基本姿勢ができていないと、無駄な力が入って体全体に余分な負荷がかかり、パフォーマンスは低下、けがのリスクも高まります。
例えば、ランニングフォームについて考えてみましょう。ランニングにおいても、まず背筋をしっかり伸ばすことが大切です。地球の重力に適応した脊柱の生理的湾曲を崩すことなく、よい姿勢を常にキープします。
普段からよい姿勢を身につけていれば、肩の力も抜けた美しいフォームで走ることができます。さらに、脊柱を支える深層筋にはミトコンドリアが多いから、エネルギーを効率的につくりスタミナも向上するでしょう。
一方、姿勢が悪いランナーはどうなるでしょうか。
走る際には常に体が揺れ動いているから、上体がまっすぐで骨格がかみ合っていないと、頭を支えるのも難しくなるし、腰や膝などへの負荷も大きくなります。
自分が猫背で走っている姿を想像してみてください。
颯爽とした感じがなく格好が悪いし、体全体がブレてケガをしやすくなります。呼吸が浅くなればエネルギーを効率的につくれず、不必要に筋肉が緊張して無駄なエネルギーも使い、非効率な走りになります。
これではよいタイムも出にくいでしょう。
肩の力を抜くにはどうしたらいい?
ランニングでは、肩の力抜くことも大切です。
これはどんなスポーツにも言えることですが、余計な力が入とフォームがみだれやすく、安定した成績も残せません。王選手の話を思い出してください。世界のホームラン王は、力を抜く技術を身につけることによって生まれました。
脱力は、よい姿勢から導かれるものですが、頭ではわかっていても知らず知らずのうちに力が入ってしまうものです。
そこで、肩の力を抜く極意をお伝えしておきましょう。
【肩の力を抜く極意】
一、身体と地面との接触部分に体重のすべてを置くイメージを持つ
体重が50キログラムの人ならば、立姿勢の場合、地に接する足の裏が50キログラムであるイメージを持ちます。つまり、足裏以外の身体の重さはゼロであると想像してください。
二、下丹田(身体の中心)に意識を集中させる
普段から下丹田(人体を身長サイズの球体に収めたとき、その球体の中心位置)を意識した呼吸を心がけていれば、どんな時も意識を集中することができるようになります。
三、息を吸う時に肩甲骨を内側に寄せつつ引き下げ、息を吐く瞬間に完全脱力
これは「姿勢矯正エクササイズ」で最後に息を吐き切る動作と基本的に同じです。
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日頃からこのエクササイズを身につけていれば、運動中でも自然に脱力ができるようになります。無意識に息を吐いている時、人は筋力を使っていません。
つまり、呼気時には自然と肩の力が抜けるものなのです。
この時に意識して強制的に息を吐こうとすると、余分な筋力を使い力が入ってしまいます。「呼気は意識しないこと」が力を抜くコツです。
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