50代の猫背...危険です!専門家が解説「なぜ姿勢が悪いと大変なことになるのか」

最近、疲れやすい、かぜが治りにくいと感じること、増えてきてません? それ、年齢の問題だけでなく、あなたの「姿勢の悪さ」が原因かもしれません。そこで、医学とフィットネスの観点から、正しい姿勢によって健康をもたらす治療法を考案した鍼灸師・岩井光龍さんの著書『1分で姿勢がよくなる!』(あさ出版)から、「姿勢と健康の関係」を連載形式でお届けします。

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反りが失われると、歩けなくなる

腰の生理的湾曲(人間独特の緩やかなカーブ)は、加齢によっても失われていきます。その原因の一つとして考えられるのは、55歳を過ぎた頃から、椎間板の水分が次第に少なくなることです。

椎間板とは、腰部の骨と骨の間でクッションの働きをする軟骨です。椎間板の水分が減ると、クッションとしの機能が弱まって、柔軟性が失われます。

腰を後ろにつきだした姿勢が習慣となっている人は、椎間板の機能低下とともに、腰の生理的湾曲が失われやすく、重度の場合は歩行が困難になることさえあります。

その典型的な例として、腰部脊柱管狭窄症があげられます。

症状としては、神経の圧迫や血流障害によって、歩行中に足に痛みやしびれを感じ、重篤化した場合は、休み休みでないと歩けなくなります。

神経や血管が通っている脊柱管が、椎間板の変形や背骨のずれにより狭くなることで、神経圧迫や血流障害が起こるというのが教科書的見解ですが、根本的な原因は、腰の生理的湾曲が失われることによる腸腰筋の硬化です。

腸腰筋とは、腰椎と大腿骨をつなぐ、姿勢を維持するめに重要な深層筋。

長年腰が後湾する前かがみの姿勢を続けることで腸腰筋が硬化し、神経や血流を阻害した結果、足の痛みやしびれが生じます。

上体を反ると痛みを感じ、前かがみになると緩和されるのは、長年の悪い姿勢が凝り固まった結果でしょう。

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脊柱管狭窄症では、上図のように脊柱管が狭くなってしまう。

その原因は、腰の生理的湾曲が失われることによる腸腰筋の硬化と考えられる。したがって、腸腰筋を正常化すれば、手術せずとも改善が可能。

姿勢が悪いと疲れやすくなる理由

[姿勢が悪い]

[反りがなくなる]

[骨格がゆがむ]

[姿勢維持のために筋肉や関節に負担がかかる]

[身体機能が低下し、様々な障害が起こる]

猫背などの悪い姿勢が習慣化すると、脊柱の生理的湾曲が失われて体がゆがみ、姿勢維持のために無駄な筋力を使ってしまう。つまり、いつも不自然に筋肉が緊張していなくてはならなくなるので、体に余計な負荷がかかり、エネルギー効率が悪く疲れやすくなるわけです。

よい姿勢=疲れにくい楽な姿勢

このことを容易にイメージしていただくために、骨だけの人体を想像してみてください。

「骨だけ」ということは、靭帯や筋肉などが周りに一切ついていないから、骨を支えるものは何もないということです。

私たちの体は、骨盤の上に腰から首までの24個の骨が積み木のように重ねられ、その上に頭蓋骨がのっています。24個の骨は生理的湾曲を描き、地球上の重力に適応した設計となっているから、頭蓋骨をのせてもバランスを保ち崩れません。

この状態がよい姿勢のベースとなるイメージです。

骨の積み木は、周りから支えるものがないので、バランスを変えると簡単に崩れてしまいます。

例えば、猫背だったり、前かがみで腰部の骨が後ろに突き出た姿勢では、脊柱で頭蓋骨を支えることが難しくなるばかりでなく、骨の積み木がバラバラと崩れてしまいます。

「だるま落とし」という民芸品のおもちゃがありますよね。胴体部分の積み木をきれいに揃えて重ねれば、胴体の積み木を叩いてもだるまの頭は落ちにくい。あんな感じをイメージするとわかりやすいでしょう。

もちろん生身の体においては、骨の周りに、関節、骨格筋、腱などが結合して働くことにより、姿勢の保持や運動が可能となります。

骨だけの体を想像してもらったのは、脊柱の生理的湾曲という自然界の法則にかなった理想の骨格を崩さなければ、最小限の力でよい姿勢を保てることを知ってほしいからです。

生理的湾曲を描いて積み上げられた脊柱は、バランスが取れているので他の支えを極力必要とせず、脱力した状態での姿勢維持が可能です。

つまり、筋肉をなるべく使わない省エネ姿勢。

体への負荷が最小限だから、負担がかかりにくく疲れにく姿勢なのです。だから、よい姿勢を習慣化すれば、細胞が劣化しにくい、つまり老化しにくい体になるのです。

姿勢もさることながら、「笑顔」も老化と深い関係にあることをご存知ですか?

いつまでも若々しい表情は、笑顔からつくられます。というのは、常に笑顔でいることで表情筋(表情をつくりだす筋肉)が鍛えられ、顔の下半分が垂れてしまうのを防ぐからです。

なぜ顔の下半分が垂れてしまうかとえば、重力があるから。普段からぶっちょう面をしていると、顔の下半分は重力に負けて垂れ下がり老て見えるようになってしまいます。

逆に顔の上半分は力が入りやすいので、緩めたほうが自然な表情になります。これも笑顔の方がいい表情になりますよね。

顔のたるみを防ぐには、いつも笑顔でいることと、重力に負けないように抗重力筋を鍛えることです。

いつも笑顔でいると、無駄な力が抜け、自律神経のバランスが整って血流も促されるので免疫力が高まります。笑顔はアンチエイジングの極意なんですね。

ただし、シワができるほどの笑顔はシワの元。適度な微笑みが素敵なあなたをつくります。また、下ばかり向いていると首にシワができやすいので注意しましょう。

これぞ健康への第一歩! 体の使い方がわかる「1分で姿勢がよくなる!」記事リストはこちら!

047-syoei-1funde.jpg姿勢と健康の関係性を5章にわたって多角的に解説。挿絵付きですぐできる「姿勢矯正体操」も

 

岩井光龍(いわい・こうりゅう)

愛知県生まれ。愛和整骨院鍼灸マッサージ院・整体院グループ代表。鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師。西洋・東洋医学、古流整体術、カイロプラティック、アユルベーダなどさまざまな治療理論を実践研究し、延べ30万人以上の臨床経験を持つ。医学とフィットネスの観点で根治を目指す「AMS療法」の考案者。

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『1分で姿勢が良くなる!』

(岩井光龍/あさ出版)

体の疲れや痛みで悩んでいる方は必読!「肩こりが軽くなった」「腰痛の痛みが和らいだ」「肌のツヤが戻った」と反響の声が続々と届く本書は、姿勢矯正エクササイズや正しい姿勢がもたらすメリットが盛りだくさん。座りながら、寝ながら、たった1分でできる簡単メソッドをぜひ。

※この記事は『1分で姿勢がよくなる!』(岩井光龍/あさ出版)からの抜粋です。

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