「フレイルサイクル」に要注意!70代女性の健康キーワードは「しっかり食べる」

自分の体が思うようにならない...、そんな違和感がありませんか? 女性は特に40代以降、更年期や閉経という新しいモードに入っていく過程で、なんらかのトラブルはつきものです。そこで、『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)より、女性家庭医である著者が提案する、それぞれの年代で起こる女性の体の変化への「上手な対応策」を、連載形式でお届けします。

「フレイルサイクル」に要注意!70代女性の健康キーワードは「しっかり食べる」 pixta_19882805_S.jpg

ストップ! フレイルサイクル"食べる力"を失わないで

60代で注意したい筋力低下のスパイラル「ロコモティブシンドローム」がありますが、実はこれには続きがあります。活動量が落ちることによる食欲不振と低栄養状態です。

ロコモにより活動量が低下するせいでお腹が減らず、食事量が低下。慢性的な低栄養状態となり、さらに筋肉が落ちていく.........まさに悪循環ですね。

「フレイルサイクル」に要注意!70代女性の健康キーワードは「しっかり食べる」 オトナ女子-164.jpg

「フレイル(虚弱)サイクル」と呼ばれるもので、このサイクルに落ち込むと、みるみる体力が失われていきます。要するに、見た目も体の中身も急速に老け込みます。

さまざまな病気を引き起こすとともに、まさに本格的な「寝たきり」への第一歩となる、と言っても過言ではありません。

70代からは動ける体に加えて、食べられる体でいられるかが重要です。70代のキーワードは「しっかり食べる」です。

加齢により食が細くなるのは、ある程度は仕方がないのですが、この年代からは過度の肥満は別として、決して痩せないことも重要になってきます。

痩せることで骨折もしやすくなりますし、手足だけでなく飲み込む(嚥下)筋肉も落ちることから、誤嚥性肺炎のリスクも高まってしまいます。

ですから、「歯周病」のページでも述べましたが、口腔の健康を保つこと、美味しく自分の歯で食べられることは、この年代に至ってはことさら重要になってきます。

しっかり食べ続けることは意外に難しい

食べるためには、動いて空腹を感じなければなりません。そして動く体力を保つためには、食べなければいけません。

卵とニワトリのような関係ですが、「じゃあ、頑張って動きましょう」で済むほど、ことは簡単ではありません。

この年頃になると、活動量の低下だけでなく、味覚や嗅覚のおとろえから食への興味を失うこともあります。歯や歯ぐきにトラブルがあればなおさらです。

食べるにしても、そこにモチベーションが湧かなければ長続きしないものです。漠然とした「健康」目的では、食べることはついおろそかになってしまいます。

要するに精神的にも肉体的にも"楽しく"食べられるか。

それは個人の生き方にもかかわることであり、医学ではままならない世界に入っていかざるを得ません。ただの医者にすぎない私では力不足かと思いますが、なんとか対策を後述したいと思います。

認知症ときちんと向き合う。水分補給も意識的に

このほか、早い人では40~50代から始まっているのですが、「物忘れ」ということも、頻繁に起こるでしょう。

物忘れと認知症は、実はなだらかな坂のようにつながっています。

そして認知症は、多かれ少なかれ、誰もがなるものでもあります。ここは大らかに対応する度量を備えたいものです。もちろん私自身も他人事ではありません。

また、身近な問題で言えば、70代にもなれば水分を体に溜めておく力もかなりおとろえています。自分の"渇き"にも気づきにくくなっており、熱中症になるケースが増えます。

この歳になると単なる「暑気あたり」では済まず、そのまま心筋梗塞などにもつながることがあります。夏はもちろんのこと、1年をとおして水分補給に気を配りたいところです。

「フレイルサイクル」に要注意!70代女性の健康キーワードは「しっかり食べる」 オトナ女子_ページ_167_画像_0001.jpg

体は少しずつ窮屈になってくるかもしれませんが、あきらめずに、いたわる心をいつまでも忘れないでください。

そして、人生を楽しむことを忘れないでください。

イラスト/加藤陽子

★40代からの女性に!★マリ先生のその他の記事リストはこちら

「フレイルサイクル」に要注意!70代女性の健康キーワードは「しっかり食べる」 syoei002.jpg40代~70代まで、年代別に表れる症状の解説や、それに対する具体的な対応策を紹介。女性家庭医として著名な著者が、わかりやすく解説してくれる一冊です。

 

常喜眞理(じょうき・まり)

家庭医、医学博士1963年生まれ。常喜医院の院長としての診療とともに、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、婦人科や乳腺外科の診察結果を総合的に最終診断する立場を担っている。テレビの健康番組にも多数出演。

shoei.jpg

『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』

(常喜眞理/株式会社すばる舎)

40代からの女のカラダは健康リスクがてんこ盛りです!女性のための年代別アドバイスで心と体の次のモードに備えましょう。輝く後半生に向けて、めざせ健康オトナ女子!!!

※この記事は『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)からの抜粋です。
PAGE TOP