口が開かず、食事もままならない...。「顎関節症」が起こる仕組み

食事をしているときに「カクッカクッ」などと顎の骨がなることはないでしょうか。音だけならばよいのですが、ある日突然、「ガクッ!」と大きな音とともに強い痛みが走り、口を開けることができず、食事もままならなくなるのが、顎関節症の典型的なパターンです。今回は顎関節症治療のエキスパート・西山暁先生に「顎関節症」が起こる仕組みについて教えていただきました。

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一般的に、口を大きく開けるためには、下顎頭がしっかり前に動くことが必要です。

そのとき、何らかの原因により下顎頭の動きが妨げられると、開口障害が生じます。この原因の一つに、関節円板のズレが挙げられます。

「以前は、関節円板がズレるとすぐに症状が出ると考えられていました。ところがMRI(核磁気共鳴画像診断)を用いた研究では、顎関節雑音のない人の約30%に、関節円板のズレが存在すると言われています。音が出たときにズレるというよりは、従来からズレていて、何かの拍子にズレがひどくなって症状につながっていると考えられます」。

関節円板がズレていても、音もなく食事が普通にできれば、当然のことながら本人は気づきません。ズレをそのまま放置しても悪くならない人もいるそうです。ただし、痛くて口が開かない状態を我慢するのは良くありません。

「口が開かない状態が続くと、顎関節や筋肉が硬くなるとともに、痛みをより感じやすくなってしまいます。そして、痛みが強くなると、さらに口が開けにくくなるといった悪循環につながります」と西山先生は警鐘を鳴らします。

悪循環を避けるには、顎関節症が疑われる症状があるときには、早めに歯科を受診することがなによりです。疑われる症状は、「顎を動かすと音がする」「顎が痛い」「口が開かない」の三つです。

治療では、最初の1〜2週間は安静にしながら顎の様子を見て、痛みが強いときには消炎鎮痛剤を用います。その後は、口を大きく開ける開口訓練(運動療法)、顎関節症になりやすい生活習慣の見直し(自己管理)などが治療の柱になります。

「年間約1500人の顎関節症の患者を診ていますが、手術が適用になった人はいません。治療は自己管理が基本。改善と同時に予防法も身につきます」と西山先生。

顎関節症はなぜ起こる?

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顎関節の動き

正常な場合

口を開けるときは、下顎頭が回転し関節円板と一緒に下顎窩から前に移動する。閉じるときは、下顎頭と関節円板が後方へ移動。

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口を閉じた状態(左)と開いた状態(右)

音がするとき

関節円板がズレて下顎頭に引っかかっている。関節円板が下顎頭にのるときに音が出る。

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口が開かないとき

ずれた関節円板と下顎頭の引っかかりが強くなると、下顎頭が前方に動きにくくなり、口が少ししか開かなくなる。

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構成/高谷優一 取材・文/安達純子 デザイン/g-love.org

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東京医科歯科大学歯学部附属病院顎関節治療部診療科長
西山 暁先生 (にしやま・あきら)先生


1969年東京生まれ。1995年東京医科歯科大学歯学部卒業。99年同大学大学院修了。2002年同大学院部分床義歯補綴学分野助教。 07年同大学歯学部附属病院顎関節治療部助教。18年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年11月号に掲載の情報です。

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