アルツハイマー病の予防に!アメリカで発表された「マインド食」とは?/鎌田實

雑誌『毎日が発見』で好評連載中の、医師・作家の鎌田實さん「もっともっとおもしろく生きようよ」。今回は鎌田さんが「慢性炎症を抑えて、認知症を予防しよう」と語りかけます。

認知症予防のために考案された食事法

アメリカのラッシュ大学医療センターは、アルツハイマー病を予防する食事法として、マインド食(MIND食)という食事法を発表しています。長寿食といわれる地中海料理に似ており、積極的に摂るといい食材10項目、なるべく控えた方がいい食材5項目を挙げています。

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<積極的に摂るといい食材>

全粒穀物(1日3回以上)、魚(なるべく多く)、緑黄色野菜(週6日以上)、その他の野菜(1日1回以上)、ナッツ類(週5回以上)、豆類(週3回以上)、ベリー類(週2回以上)、鶏肉(週2回以上)、オリーブオイル(優先して使う)、ワイン(1日グラス1杯まで)

<控えた方がいい食材>

お菓子(週5回以下)、赤身の肉(週4回以下)、チーズ(週1回以下)、ファストフード(週1回以下)、バター(なるべく少なく)

この食材5項目を、高齢者約1000人を平均5年間、追跡調査すると、9項目以上を達成できていた人は、5項目以下だった人に比べて、アルツハイマー病の発症が8%も低いという結果が出ました。

マインド食は、糖分を控え、塩分を1日6g未満に抑えているのも特徴です。日本では塩分を男性8g未満、女性7g未満に抑えるようにいわれていますが、10g前後摂っている人が多いのが現状です。塩分を制限すると、血圧が下がり、認知症リスクが下がります。同時に、脳卒中や胃がんのリスクも下がるのです。

ぼくがこれまで健康づくり運動で述べてきた食事と共通する点がたくさんあります。

違う点は1つだけ。

<控えた方がいい食材>赤身の肉。日本人は欧米人と比べてタンパク質の摂取量が少なく、フレイル(虚弱)になって要介護になることが多いので、肉は普通に摂ろうと呼び掛けています。

カギは、いかに慢性炎症を抑えるか

弘前大学の医学部長で脳神経病理学の若林孝一教授と対談したとき、慢性炎症の話題になりました。慢性炎症とは、老化やさまざまな生活習慣病を起こす状態のこと。高血圧、動脈硬化、糖尿病、がん、うつ病などの病気にかかわることがわかってきました。

ぼくが「アルツハイマー病も慢性炎症が原因ですか」と質問すると、認知症の脳に詳しい若林教授は「間違いありません。アルツハイマー病もきっかけは慢性炎症です」と話しました。

つまり、アルツハイマー病も、脳血管性の認知症も、いかに優性炎症を抑えるかが、予防のカギを握っているのです。

ウオーキング+筋トレ

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慢性炎症を防ぐには、まず運動習慣を身に付けることです。運動は、認知症予防をはじめ、がんや生活習慣病の予防として多くの医師が認めています。

最近、WHOが認知症予防のガイドラインを発表しました。そこで強く推奨されているのが

①運動、②禁煙、③血圧のコントロール、④血糖値

のコントロールの4つです。

さらに国際アルツハイマー病会議は難聴や肥満、うつ、社会的孤立などの認知症のリスクに対処すると、認知症になることを5%抑制できるとしています。

ぼくは以前から「貯金より貯筋」と言ってきましたが、高齢になっても健康でいるためには、筋肉を衰えさせず、体を動かすことが大事です。

「東北大学の研究では、ウオーキングの有酸素運動だけでなく、筋力強化を組み合わせたトレーニングが認知機能を改善すると報告しています。

この連載でも、鎌田式スクワットやかかと落としを紹介してきました。毎日8000歩程度のウオーキングにプラスして行うことをおすすめします。

野菜をたっぷり食べよう

野菜に含まれる色素の抗酸化力は、慢性炎症を抑えてくれるといわれています。一日の野菜の目標摂取量は350gとされていますが、野菜ジュースやおひたし、野菜たっぷりみそ汁などにして効率よく、おいしく摂りましょう。

また、血糖値の急激な上昇も慢性炎症を起こしやすいので、主食を玄米ごはんや雑穀入りごはん、全粒粉パンなどに代えてみることをおすすめします。白いごはん、白いパン、白いうどんなどは、血糖値の急激な上昇をもたらしやすいといわれています。

マインド食では、控えた方がいい食品としてチーズを挙げていましたが、発酵食品が腸の健康を保ち、免疫力を高めることは知られています。

腸内細菌は、認知症の抑制とも関係しているといわれています。腸内細菌の善玉菌を増やすには発酵したものをとるようにしましょう。同時に、海藻やきのこ、野菜から食物繊維を摂ることも大切です。

認知症遺伝子をオフにしろ

アルツハイマー病の発症にかかわる遺伝子に、アポE遺伝子があります。アポE遺伝子を持っている人はアルツハイマー病の発症リスクは3~2倍になります。

しかし、認知症遺伝子をもっているだけでは認知症になりません。遺伝子がオンにならなければ発症しないのです。そして、その遺伝子をオンにする原因の一つが、慢性炎症なのです。

国立長寿医療研究センターが4年間の追跡研究をした結果、認知症予備軍に当たる軽度認知障害(MCI)のうち、生活スタイルを改善することで8%が正常に戻ったと報告しています。

高齢だから仕方ない、認知症の遺伝子があるから仕方ない、とあきらめなくていい時代になってきました。運動や食事などの生活習慣を見直して慢性炎症を抑え、人生の豊かな果実を実らせてください。

 

<教えてくれた人>

鎌田 實(かまた・みのる)さん

1948 年生まれ。医師、作家、諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。『だまされない』(KADOKAWA)など著書多数。

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この記事は『毎日が発見』2019年9月号に掲載の情報です。

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