アレルギー性鼻炎の人は要注意!咳を長引かせる「鼻炎」の種類

「咳が1週間くらい長引いても自然に治るのを待つ」というあなた。放置していると全身に悪影響を及ぼすかもしれません。毎月2000人以上の患者を治療してきた呼吸器の名医・杉原徳彦先生は、実は悪さをしているのは「のどではなく鼻の奥」と言います。そこで、杉原先生の新刊『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から、「長引く咳」の正体から治療法までを毎日9:30に連載形式でお届けします。

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つらい咳につながる「鼻の炎症」の正体

長引くつらい咳の原因となる鼻の疾患の代表的なものとしては、
1.アレルギー性鼻炎
2.慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)
の2つがあります。

こうしたアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎をもっているかどうかは、検査によって確かめることができます。

アレルギー性鼻炎の場合は、アレルギー検査によって、その原因物質を特定できます。副鼻腔炎の場合は、CTやMRI(磁気共鳴画像)を撮影して、画像検査で副鼻腔に膿が溜まっていないかを見ていきます。

原因のわからない咳が3週間以上続く場合は、こうした検査によって鼻の疾患の有無を確かめてみるといいでしょう。

「アレルギー性鼻炎」の特徴

「アレルギー性鼻炎」は、その名のとおり、鼻の中でアレルギー反応が起こることで生じる疾患です。アレルギー反応とは、私たちの免疫機能が過剰に反応することです。

免疫機能が正常に機能している場合、外敵が鼻に入ると、「くしゃみ」で体外に追い出したり、「鼻水」で洗い流したり、鼻の粘膜を腫れさせたりすることで「鼻づまり」を起こし、これ以上の侵入を防ぐなどして、体を守ります。

アレルギー反応が起こるとこれらが過剰になり、くしゃみが止まらない、鼻水が出続ける、鼻づまりで鼻呼吸が十分にできないといったことが起きてしまいます。

そして、くしゃみも鼻水も鼻づまりも、咳の原因になります。

アレルギー性鼻炎でも、アレルギー反応が起きていると、こうした症状が続きます。その結果、長引く咳が生じてしまうのです。実際、花粉症の時期になると、咳の症状を訴えて病院を訪れる患者さんは多くなります。

ちなみに、アレルギー性鼻炎はアレルギー反応の原因物質によって、
・季節性のもの(花粉症など、特定の時期だけ起こるタイプ)
・通年性のもの(1年中アレルギー反応が起こっているタイプ。ハウスダストなどが代表的な原因物質)
に分類されます。

症状としては、季節性のもののほうが、ひどくなりやすくなります。通年性のものは症状が比較的穏やかなので、自分がアレルギー性鼻炎をもっていると気づいていない人も多いようです。

「慢性副鼻腔炎」の特徴

一方、長引く咳のもう1つの原因に、「慢性副鼻腔炎」があります。これは、ウイルスや細菌などの侵入で副鼻腔に炎症が起こる感染症の疾患です。

急性のものと、慢性化したものとがあります。副鼻腔とは、鼻腔の周囲の骨の内部に、左右それぞれ4つずつ、合計8つある「空洞」のことです。それぞれ上顎洞(じょうがくどう)、篩骨(しこつ)洞、蝶形骨(ちょうけいこつ)洞、前頭(ぜんとう)洞という名前がついています。

副鼻腔炎になると、炎症によって副鼻腔の粘膜が腫れるほか、炎症によって生じた膿や鼻水などがこれらの空洞の中に溜ることがあります。

慢性化していると、炎症が続いているため、副鼻腔内に膿がずっと溜っているケースが多く、「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれます。

症状としては、急性のものであれ、慢性のものであれ、鼻水や鼻づまり、頭痛や頭重感などがあります。また、慢性化すると、粘性の強いネバネバした鼻水がのどに垂れるのを感じる「後鼻漏」が生じます。

ただ、副鼻腔炎も慢性のものは症状が軽く、気づいていない場合も多くあります。後鼻漏を感じる慢性副鼻腔炎は、非常に軽傷であることが多いため、気づきにくいのです。慢性副鼻腔炎の場合、後鼻漏が頻繁に起こり、鼻の粘膜も腫れるため、咳が長引いてしまうわけです。

「アレルギー性鼻炎」と「慢性副鼻腔炎」の混合型

なお、患者さんの中には、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の両方にかかっているケースが少なくありません。あるデータによると、副鼻腔炎の患者さんの3割くらいがアレルギー性鼻炎を合併しているとのことですが、診察していると、その割合よりも多い印象を受けます。

そして、アレルギー性鼻炎をもっていると、副鼻腔炎もなりやすくなります。

アレルギー性鼻炎ではアレルギー反応を起こす「鼻腔」は、狭い穴(自然口)で副鼻腔とつながっています。そのため、アレルギー性鼻炎で鼻腔が炎症を起こすと、粘膜が腫れて自然口が狭くなります。また、ポリープ(鼻茸-はなたけ)によっても、ふさがれる場合もあります。

その結果、副鼻腔内部の換気が悪くなり、ウイルスや細菌等が繁殖しやすくなり、副鼻腔炎になりやすくなるのです。

また、鼻腔と副鼻腔はつながっているゆえに、場合によってはアレルギーの原因物質が自然口を通じて副鼻腔にも入り、そこでアレルギー反応を起こすこともあります。

この場合も、副鼻腔内部で炎症が起こり、膿が溜りやすくなります。そして、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の両方をもっている場合、それが原因の長引く咳を解消していくには、両方の治療が必要になるのです。

実は鼻の炎症が原因かも!?「つらいせきが続いたら」記事リストはこちら!

030-shoei.jpg4章にわたり、長引く咳の原因と対策を網羅。咳対策用の枕、マスク、お茶の選び方などセルフケアの実践方法も紹介されています

 

杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)

1967年8月13日生まれ。医療法人社団仁友会 仁友クリニック院長。医学博士。専門は呼吸器内科。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)呼吸器科勤務を経て現職。上気道と下気道の炎症に着目した独自の視点で喘息診療を行う。

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『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』

(杉原徳彦/あさ出版)

「長引く咳」「痰がからみやすい」、放置しがちな体のちょっとした異変は、「鼻の炎症」が原因かもしれません。そのままにしておくと、全身に危険が迫る可能性も!?日本全国から毎月2000人以上の患者を受け入れて治療にあたる、呼吸器の名医がまとめた初著書の中には、思い当ることが多すぎて、きっと鼻の治療をすぐに始めたくなります。

※この記事は『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(杉原徳彦/あさ出版)からの抜粋です。

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