「まぶたの端がたれて開きにくい・・・」ただの老化と思って大丈夫?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

「病院に行くべきかどうか...」と悩むレベルの困った症状、いろいろありますよね。今回寄せられたのは、「両目のまぶたが開きにくい」という60代女性のお悩み。医療法人社団同友会理事長、高谷典秀先生がお答えします。

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両目のまぶたが開きにくくて不便...

68歳の女性です。目のたるみについて教えてください。

だいぶ前からの話なのですが、両目のまぶたが開きにくいと感じます。鏡を見ますと、上まぶたの端が垂れ下がっているのです。

年をとると仕方がないことかと思い、ずっと放置していたのですが、症状はひどくなるばかりです。煩わしく、目も疲れますし、不便です。最近では目が疲れて、肩こりもするようになりました。

年をとると、皆こうなるものなのでしょうか。まぶたの開きを、なんとか治すことはできないでしょうか。 

眼瞼下垂の状態。神経筋肉の麻痺や老化が原因

今回は、上まぶたが垂れ下がってきて煩わしいという方からのご相談です。

病状からしますと、医学的には眼瞼下垂(がんけんかすい)の状態であると思われます。眼瞼下垂というものは、目をきちんと開けているつもりでも、上まぶたが垂れてきてしまうものです。その症状だけでは命にかかわる事はないので、生活に支障がないようであればそのまま放置してもかまわないことが多いのですが、重症の方ですと、視界が遮られたり、自分では目を開くこともできなくなってしまいます。

眼瞼下垂の原因には様々あり、大きく分けると神経や筋肉の麻痺によるものと、老化によるものとがあります。神経や筋肉の麻痺によるものでは、まず重症筋無力症という病気があげられます。これは全身の様々な筋肉の力がどんどん弱くなってしまう病気なのですが、その症状のひとつとして眼瞼下垂が出てきたりします。特徴としては、ものが二重に見えたり、普段から力が入りにくかったりします。また、動眼神経麻痺という病気もございます。眼球を動かす神経が何らかの原因によって麻痺してしまう病気で、重症筋無力症とは異なり、片方の目だけに起こる場合が多いです。

もうひとつ例をあげると、ホルネル症候群という難しい名前の病気が原因となっていることもあります。これは交換神経麻痺によるものなのですが、肺、脳、頸部の病気や怪我で生じます。眼瞼下垂があって調べてみたら肺がんが見つかったということもあるので、このような病気であれば、きちんと診断をして、その治療を行う事が重要です。

一方、ご高齢の方に多い老人性眼瞼下垂というものもあります。年をとると、まぶたを支える筋肉の力が弱くなったり皮膚がたるみやすくなったりすることによって生じます。それ以外ではコンタクトレンズの長期使用によっても同じように症状が出てくる人がいます。このような場合には薬で治療をすることは難しいのですが、生活に支障が出るくらいの症状がある場合には、手術でまぶたを上げるような対策をとることができます。この場合は、形成外科で診ていただくのが一番良いでしょう。

あなたの場合、症状がひどくなっているようですし、まずは老化によるものか、もしくは筋肉や神経の麻痺によるものか、原因を突き止めたうえで適切な対処をしてもらうと良いでしょう。一度脳神経内科を受診してみてください。(老友新聞)

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<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。
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