「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、仕事中に心臓がドキドキする、という60代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。
Q
仕事中、心臓の鼓動が早まります
62歳の男性です。私は自宅でクリーニング店を経営しているのですが、時折、作業中に心臓がドキドキすることがあります。
毎日忙しく働いておりますが、激しく体を動かしたり、力仕事をしているわけではありません。普通に作業をしている時でも、ドクドクドクと、心臓が早鐘を打ち、息苦しくなります。動かずにじっとしていると、すぐに元に戻るのですが、これは心臓の病気でしょうか。
場所が心臓なだけに、万一のことを考えると怖いですが、入院、手術という事になっても、仕事があるので困ります。なにか良い薬があれば教えてください。
A
頻脈性の不整脈か?
まず心臓の機能・肥大検査を
今回は、心臓がドキドキするという事でお悩みの方からのご質問ですが、そういった症状からはやはり不整脈が心配されます。
心臓は通常、規則正しく脈を打つもので、脈拍数はだいたい一分間に60回くらいです。不整脈の場合、その脈のリズムが乱れるわけですが、乱れ方にも色々あり、お手紙で症状を拝見しただけでは詳しい状態は分かりません。
不整脈の種類は脈が早くなるタイプと遅くなるタイプに別れるのですが、あなたのような症状は早くなる場合に相当する、頻脈性の不整脈が疑われます。頻脈性の不整脈の中でも様々な種類があり、治療が全く必要なく、放置しても良い不整脈から、通院して治療をした方が良いものもあります。時には元々心臓に何らかの病気があるために不整脈が出ることもありますので、まずはどのような種類の不整脈かをきちんと知ることが必要です。
どのような不整脈かを知るためには、不整脈が出た瞬間の心電図を確認する必要があります。しかし、病院で検査をするタイミングで不整脈が出るとは限らないため、通常はホルター心電図という携帯型の機器を一日装着していただき、24時間心電図の波形を記録し続けるという検査をします。検査をしている間に症状が出れば、波形を記録することができ、不整脈の種類を知ることができます。
さらには、心臓の病気があるかどうかの確認をした方が良いので、そのためには通常の心電図検査や、場合によっては運動負荷心電図検査、心臓超音波検査などを受けて、心臓の肥大がないか、心臓の機能はどうか、などもチェックしておく必要があります。
それらの結果を総合的に見たうえで、お薬が必要な場合には当然薬を投与することになりますし、万一狭心症などの病気が隠れていたりした場合には、心臓カテーテル検査などの精密検査をしなければなりません。とくに症状がひどく、めまいがしたり、気を失いそうになったりするような場合には早急に検査をしてください。
ご存知の通り、心臓は大変重要な臓器ですので、自分の判断で薬店に売られている薬に頼ったりせず、まずは循環器内科できちんと見てもらうようにしてください。(老友新聞社)