憩室炎で入院を繰り返しています。どんな病気? 予防法は?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、憩室炎という病気に苦しむ80代女性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。

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Q

憩室炎(けいしつえん)で入院繰り返す...

83歳の女性です。私は昨年より、憩室から出血を起こし、半年に一度くらいの割合で、半月ほどの入院を繰り返しています。

どうやら、憩室炎という病気らしいです。私は今まで、様々な病気をしましたが、憩室炎というものは初めてです。私と同じ病気で苦しんでいる人は多いようですが、憩室炎というのは、どのような病気なのでしょうか。

あまり悲観はしないようにしていますが、繰り返し入院をしていますので、予防法がありましたら、教えてください。

 

憩室に便が溜まらないよう、便秘予防が必要

今回は憩室炎でお悩みの方からのご相談ですが、まず、憩室というものについてご説明をいたします。

憩室というのは、一般的には大腸に多くできますが、ときには食道、胃など、消化器系の色々な場所にできるものです。

憩室は、腸壁の外に向かって、袋状に飛び出してしまい、小さな部屋状になるもので、内側に飛び出すポリープとは、ちょうど逆のものです。胃にできれば胃憩室、食道ならば食道憩室、そして大腸にできるものを大腸憩室と呼びます。とくに高齢になると、腸壁などの粘膜が弱くなるため、憩室はできやすくなります。

あなたのような大腸憩室の場合、大腸は便の通り道なので、どうしても憩室に便が停滞しやすく、するとそこに炎症が起きてしまいます。だれでも生まれつき持っている、虫垂という小部屋が炎症を起こす虫垂炎、いわゆる盲腸のことですが、それと同じことが大腸の憩室に起きてしまうのです。

症状がひどい場合には、出血をしたり、穿孔といい、穴が開いてしまったりすることもあります。

憩室炎の治療は通常、まずは絶食をしたり、抗生物質を点滴したりして炎症が落ち着くのを待ちます。あなたの場合半年に一度出血で入院しているということですので、そのように繰り返す場合は憩室の場所を特定して切除することもあります。

しかしあなたの場合、87歳ということで、年齢的にも、なるべく手術は避けたいとお考えだと思います。また、憩室がたくさんあり、どこを切除してよいか主治医の先生は決めかねているのかもしれません。

再発をさせないためには、憩室に便が溜まらないよう、便秘予防をすることです。

一般的な便秘予防法と同じように、良く運動をすること、水分を十分に取ること、また食物繊維を含む食品を多くとることが憩室炎の予防に効果的だといわれていますので、野菜や豆製品など食物繊維の多い食事を心掛けてください。

また、もし出血が起きる前に、何らかの症状が出た場合には、入院を避けるためにも早めに病院を受診し、診断をうけると良いでしょう。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

 

<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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