函館周辺の限られた海域でのみ生育するガゴメ昆布。元来、やっかい者とされてきたガゴメ昆布ですが、近年はその健康成分の豊富さや強力なねばり、そしておいしさで人気を集めています。近年は、大学と漁協の連携で新たな栽培ガゴメ昆布である「北大ガゴメ」も登場。函館国際ホテルの総料理長・木村史能さんに、ガゴメ昆布の魅力をお伺いしました。
北大ガゴメと函館真昆布、アカモクの中華炊き込みご飯1,500 円(税込)。そのまま食べてから、干しエビといかぶしのふりかけをかければ、2 度楽しめます。炊き込みご飯には、北大ガゴメの細切り入りスープ付き
北海道大学×漁協の栽培ガゴメ昆布が登場
北海道大学では、ガゴメ昆布のライフサイクルを解明し、独自の栽培技術を確立。地元漁協と連携して取り組んだ結果、「北大ガゴメ」という栽培昆布の増産が実現しました。
北大ガゴメは、フコイダン量が最も増える成長期に収穫するため、天然ものに比べてフコイダン量が約2倍。真昆布に比べると約4倍も多くなります。また、2~3年ものの天然ガゴメと違い、初冬から早春にかけて約半年間で栽培。そのため、海が暖かくなると急速に発生する海藻や貝類、甲殻類の付着物が少なく、きれいな状態で収穫されます。
函館市内では、北大ガゴメを食べられる飲食店が急増中。中でもいち早く取り組んだのが、函館国際ホテルの総料理長・木村史能(ふみよし)さん。
「北大ガゴメは、穫れたてを浜で速やかに選別し、素早く冷凍保存した状態で届きます。そのため、乾燥ものと違い、加熱してもねばりが落ちず、加熱調理が可能に。豚肉と一緒に炒めると、ねばりはもちろん、シャキシャキとした歯切れの良さが味わえます。函館の新たな名物になることでしょう」
北大ガゴメと豚肉の細切り塩炒め1,200 円(税込)。細切りにした北大ガゴメが、驚くほどシャキシャキ。昆布自体にとろみがあり、豚肉とよくマッチしています。
自宅で乾燥の北大ガゴメを調理する場合は、ねばりを楽しむならば加熱せずにふりかけたり、食材に混ぜるのがおすすめ。水でもどして炒め物に加えたり、炊き込みごはんもいいです。
北大ガゴメの海老すり身入り湯葉巻きチリソース700 円(税込)。北大ガゴメメニューは、収穫状況に合わせて登場。
「ガゴメ昆布は函館の新たな名物。北大ガゴメが登場したことで、さらにいろいろな味わいを楽しんでいただけます」と、木村シェフ。
●北大ガゴメはこう食べましょう
<ねばねば食材と>
軽く水でもどすとねばりが出て、とろろや納豆、オクラなど、とろみのある食材とよく合います。
<サッと炒め物に>
豚肉との相性が抜群です。サッと油で炒めればシャキシャキとした食感とねばりを楽しめます。
<スープに入れて>
スープの仕上げに北大ガゴメを入れれば、ほどよいとろみが付いて味わい深くなります。
<ごはんと一緒に>
細切りタイプは、炊き込みごはんに最適。好みの具材と一緒にそのまま炊き込むだけで風味豊かに。
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/富田桃子