医師が教える「口のお手入れ」4つのウソ・ホント

50代ではほぼすべての人に見られるというこの「歯ぐき下がり」や、それに伴う虫歯「根面う蝕」を予防するためには、日頃の丁寧なお手入れが欠かせません。普段から行っている人が多いと思われる「口のお手入れ方法」が正しいのか間違っているのか、東京歯科大学の杉原直樹先生に伺いました。

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■お手入れウソ・ホント(1)

虫歯予防のための歯磨き剤はフッ素配合が良い

 

(答え)○
高濃度フッ素配合のものが効果大
歯ぐきが下がって歯の根元が露出すると、虫歯のリスクが生じます。フッ素には再石灰化促進、歯質強化、歯垢中の虫歯菌が酸を作り出すのを抑制するなどの働きがあるので、高濃度フッ素配合歯磨き剤を選びましょう。

●フッ素の主な働き
歯を強くする(歯質強化)...歯質を強化し、歯の表面を酸に溶けにくい性質に修復します。
再石灰化の促進...歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進させます。

 

■お手入れウソ・ホント(2)

ブラッシングするときはゴシゴシ、しっかりと磨く

 

(答え)×
ブラッシングは優しく。1カ所20回以上
歯を強く磨き過ぎると、歯がすり減り、歯ぐき下がりの原因になります。歯ブラシは、毛先を歯面にきちんと当て、毛先が広がらない程度の軽い力で、小刻みに動かして磨きます。1 カ所20 回以上磨くようにしましょう。

 

■お手入れウソ・ホント(3)

ブラッシング後は、口の中をしっかりとすすいだ方が良い

 

(答え)×
すすぎは1回。10~15mlで十分
歯磨き剤には、汚れを除去しやすくするだけでなく、つきにくくする働きもあります。歯磨き剤の薬用成分を口の中にとどめるため、大人の場合は、すすぎは1 回、少量の水(10~15ml)で行うのが効果的です

 

■お手入れウソ・ホント(4)

歯磨きは毎食後、30分以内に行う

 

(答え)○
食後30分以内に歯磨きを!
食後は、プラーク中の細菌が糖分を代謝して酸を作るため、口の中が酸性状態になります。唾液の働きで元の中性状態に戻るには40 分ほどかかり、その間ミネラルが溶けやすい状態になり、虫歯の原因に。「食べたら磨く」習慣をつけましょう。

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

杉原直樹(すぎはら・なおき)さん

東京歯科大学衛生学講座主任教授。日本口腔衛生学会理事、日本老年歯科医学会評議員。

この記事は『毎日が発見』2019年7月号に掲載の情報です。
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