急にくる「下痢」や長く続く「便秘」に悩んでいる女性も少なくないはず。そこで、排便トラブルのスペシャリストである大腸・肛門機能の専門医による話題の書籍から「排便の正しい知識と対処術」をご紹介!目指すべき理想の便「するするバナナ」についてや、多くの人が誤解して陥りやすい「うんこトラップ(罠)」、またその予防・対処術としての「うんトレ」のエッセンスを、連載形式でお届けします。
※この記事は『うんトレ ― 誰にも言えないうんこのトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(神山剛一・医療監修/方丈社)からの抜粋です。
前の記事「おなかのトラブルを回避する初めの一歩はうんちの観察&評価!/うんトレ(2)」はこちら。
すっきりしなくても問題ない!
理想の便である「するするバナナ」は出ていない、出ていても毎日は出ない、お腹がはっている感じがする、残便感がある、便が細い、下剤を飲まないと"どかん"と出ない、何度もトイレに行かなくてはならない。だから自分は「便秘」(または「下痢」)だと思っているなら、いったん心を鎮めて、自分が問題にしていることを見直してみませんか。
もしかしたらうんこの性状(バナナだとか、コロコロ便だとか、泥状便だとか)ではなく、「すっきり出ていない!」ということを問題視しているのではないでしょうか?この「すっきり」を過剰に求めてしまうと、正しいうんこアセスメント(自分のうんこを観察し、評価すること)ができず、排便トラブルありと思い込んでしまう場合が少なくないと神山先生は指摘します。
確かに、本物の便意を感じてトイレに行ったときに出る「するするバナナ」は力んだり、踏ん張ったりしなくてもスポッと出るので、すっきり感が味わえます。何とも言えぬ爽快感と、安堵感。すごくわかります。
しかし、たとえば生活の中で、都合のつくタイミングでトイレに行ったり、偽物の便意に誘導されてトイレに行くと、本来、排便のタイミングではないので、すっきりはしないのです。そして都合のつくタイミングでトイレに行くのも、便意がなくてもとりあえず行っとくのも、生活上やむを得ず、すっきり出ないことには何も問題はありません。
ところが「すっきり出てない!」のを問題と考え、便秘だと思ってしまい、下剤を乱用すると下痢をしてしまいます。下剤を飲むと、まだ十分な量が直腸にたまっていないのにトイレで踏ん張るので、さらに「少ない」「すっきり出ていない」と気がすまなくなる、負の連鎖が起きることもあります。
そして出しきろうとトイレで踏ん張りすぎると、直腸性便秘(まったく別の排便トラブル)と同様の状態をまねくことも多いようで、これは下剤を飲んでも必ずしも改善しない直腸の病気です。
「すっきり」したい気持ちは心情的には理解できますが、うんこはしかるべき排便のタイミングでしかスポッとは出ないものなのです。「また、たまってから出ればいいや」。そう評価できないことが排便のトラブルの始まりで、その結果として本当に便が排泄できないトラブルにつながり、重症化してしまうケースは増えているということです。
かわいいイラストを使って「排便の正しい知識と対処術」が分かりやすく解説されています