80歳までに3人に1人がかかる「帯状疱疹」基礎知識

ピリッと強く痛む「帯状疱疹」(たいじょうほうしん)。加齢やストレス、疲れなどにより発症し、80歳までに3人に1人がかかると言われる症状です。そこで、この帯状疱疹の仕組みや予防、治療法について、国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長の多屋馨子先生にお聞きしました。今回は、原因や症状、また合併症など、ひと通りの基礎知識をご紹介します。

 
pixta_29056345_S.jpg痛みの後遺症などを防ぐため72時間以内に治療を

ストレスや疲れなどがたまっているときに、胸などの皮膚にピリピリ、チクチクと痛みが走り、水疱を伴う赤い発疹が生じることがあります。その症状の最大原因は帯状疱疹です。過去に感染して、知覚神経節に潜んでいた水ぼうそうウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が再活性化し、皮膚に水疱を作ります 。


ご存じですか 「帯状疱疹」

■原因
「水ぼうそうウイルス」
正式な名称を「水痘・帯状疱疹ウイルス」という


■症状
・痛みを伴う皮膚水疱
・チクチク、ピリピリする痛み→耐えられない痛み
・紅斑→水疱→水疱が破れる→かさぶたになる


■かかりやすいのは?
中高年
80歳までに3人に1人がかかる

 

■発症理由は?
・加齢、ストレス、過労
・免疫機能抑制治療など

         ↓

体の免疫力が低下すると 「水ぼうそうウイルス」 が再活動を始める
 

 
「症状が出たならば、すぐに皮膚科や内科などを受診して、発症から72時間以内に抗ウイルス薬を服用することが大切です。再活性化したウイルスが増殖すると神経にダメージを与えるため、できるだけ早い段階で治療を開始することが重要なのです」と多屋馨子先生はアドバイスします。

神経がダメージを受けてしまうと、水疱が治まっても痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN) という後遺症が残る人がいます。消炎鎮痛剤を飲んでも痛みは消えず、神経に局所麻酔薬を注射する神経ブロックの治療が必要になることもあるのです。また。帯状疱疹が重症化すると入院治療が必要になることもあるので注意しましょう。

「PHNはご高齢になればなるほど合併しやすく、50歳以上の患者さんでは、約2割に合併するといわれています」。

 

「帯状疱疹」になってしまうと...

■生活の質が著しく低下する
・痛みがひどく、 家事ができない
・痛みのせいで眠れない
・顔や首の発疹が気になり、 外出するのが嫌になる

ウイルスが神経を障害するため四六時中痛みに悩まされます。水疱が外から見える部位に広がると外出するのもつらくなり、重症化すると入院治療が必要になる場合も。


■怖いのは「帯状疱疹」の合併症
・帯状疱疹後神経痛(PHN)
・難聴、顔面神経麻痺 (ラムゼイ・ハント症候群)
・角膜炎、急性網膜壊死(眼部帯状疱疹の場合) ほか

 
最も多いのが発疹が治まった後も痛みが消えない帯状疱疹後神経痛です。消炎鎮痛剤でも痛みは治まらず、生活の質の低下が長らく続きます。

 

次の記事「どこにできやすい?年齢は?「帯状疱疹」が起こる仕組み(2)」はこちら。

取材・文/安達純子

 

 

<教えてくれた人>

多屋馨子 (たや・けいこ)先生

国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長 。高知医科大学医学部卒。 大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部小児科・微生物学講座などを経て2001年国立感染症研究所へ。2013年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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