どこにできやすい?年齢は?「帯状疱疹」が起こる仕組み

ピリッと強く痛む「帯状疱疹」(たいじょうほうしん)。加齢やストレス、疲れなどにより発症し、80歳までに3人に1人がかかると言われる症状です。そこで、今回は、国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長の多屋馨子先生にこの帯状疱疹が起こる仕組みについてお聞きしました。

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帯状疱疹は、決して珍しい病気ではありません。水ぼうそう(水痘)になった経験を持つ誰もに起こり得ます。水ぼうそうが治ってもウイルスは排除されずに、体内の神経が集まる神経節に潜伏し続けるからです。

このウイルスの動きを止めているのが病原体を攻撃する細胞性免疫です。ストレスや過労、抗がん剤や免疫抑制剤などの治療薬で、細胞性免疫の働きが弱まるとウイルスが活性化して帯状疱疹になります。

「水ぼうそうになった人は体内に抗体を持っていますが、帯状疱疹は抗体の有無に関係なく、細胞性免疫が低下したときに起こります。神経節で増えたウイルスは、神経に沿って皮膚の方へ移動して神経の支配領域で水疱が生じます。体の片側の胸や背中、腹部、顔などに症状が出ますが、人によって発現部位が異なります」と多屋先生。

 

【帯状疱疹が起こる仕組みと発症部位】

乳幼児や10歳以下の子どもの約90%がかかる感染症・水ぼうそう。このときに体内に入ったウイルスは消滅せず、神経節(三叉神経、顔面神経などの脳神経や脊髄神経節など)に生涯潜伏します。水ぼうそう経験のある大人でも、健康で免疫力が強い間は活動が抑えられています。

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子どものころに水ぼうそうにかかり、水ぼうそうが治るとウイルスは神経節に潜伏します。その後、大人の潜伏期があります。何もなければ、ウイルスは神経節に潜伏したままです。そして、帯状疱疹を発症すると、ウイルスは神経から皮膚に向かい帯状疱疹が発症します。


■発症部位
頭部~顔...17.6%
首~上肢...14.5%
上肢~胸、背中の上側...31.2%
背中の下側~腰...19.6%
腰、臀部~下肢...17.1%


【帯状疱疹の年代別発症数】
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宮崎県における調査によると、免疫力が低下する50歳くらいから帯状疱疹の発症数が増える。(出典:外山望. 日本臨床皮膚科学会誌. 2012;29:799-804.)

 

激しい痛みの症状は帯状疱疹に共通しますが、水疱の現れ方は人それぞれです。左右いずれかの皮膚に神経に沿って現れる水疱は、ひどいときには広範囲に及ぶこともあります。そして、3カ月以上も続くPHNに加え、ウイルスが増殖する神経によっては難聴や角膜炎など、耳や目などの合併症にもつながります。帯状疱疹の重症化と合併症を防ぐために、できるだけ早く治療を受けましょう。

 

次の記事「ブースター効果減少で要注意!「帯状疱疹」の予防法って?/H&B(3)」はこちら。

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

 

<教えてくれた人>

多屋馨子 (たや・けいこ)先生

国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長 。高知医科大学医学部卒。 大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部小児科・微生物学講座などを経て2001年国立感染症研究所へ。2013年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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