自分の唾液に要注意!高齢者が注意したい「誤嚥性肺炎」

「1カ月前に風邪をひいて、咳だけ今も出る」「カラ咳が1年くらい続いている」など、ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えています。2週間以上続く咳の場合はさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。

今回は「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」について、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医で、「池袋大谷クリニック」の院長、大谷義夫先生にお聞きしました。

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食べ物や飲み物、唾液の飲み込み間違いが原因

咳が長引く原因の1つである肺炎は、細菌(肺炎球菌など)やウイルス(インフルエンザウイルスなど)によって引き起こされる病気ですが、もう1つ、高齢者が特に気をつけたい肺炎が「誤嚥性肺炎」です。

高齢者に最も多い肺炎で、65歳以上の肺炎の半数以上がこの誤嚥性肺炎だと考えられており、咳や痰など風邪に似た症状が起こります。

「『誤嚥』とは、食べ物や飲み物、唾液などが気管に入ってしまうことです。肺炎球菌や口腔内の細菌が気管から肺に入り込んだことが原因となって、肺炎を引き起こしてしまいます」と、大谷先生。

人間ののどの部分は、食べ物や飲み物が通る「食道」と、空気が通る「気道」に分かれています。気道には軟口蓋(なんこうがい)と喉頭蓋(こうとうがい)という蓋が付いていて、食事をする時はこれらが閉じて、それぞれの通り道がきちんと区分されています。ですが、飲食物を飲み込む働き、つまり、嚥下(えんげ)機能が衰えた高齢者や寝たきりの人はうまく分けることができません。

通常は食べ物や飲み物が気道に入ると、すぐに咳反射が起きて吐き出すことができ、異物が気道に入り込むことはないのですが、高齢者は飲み込む力が落ちているうえ、咳反射の機能も低下しているため、異物が肺にまで入り込んでしまうのです。

誤嚥性肺炎で特に注意したいのは、飲食物よりも自分の唾液。唾液が気管に落ちて、唾液の中の細菌によって炎症が起こるケースです。唾液には細菌が多くいますが、この場合、自覚症状がほとんどないので、気づかないうちに進行していきます。

【誤嚥性肺炎の主な原因】
食べ物や飲み物、唾液などが気管に入り、それに混ざっていた細菌が肺に流れ込むことによる。

【誤嚥性肺炎の主な症状】
・2週間以上、咳が続く
・発熱(微熱~高熱)
・痰が出る

【誤嚥性肺炎の主な治療法】
・ニューキノロン系抗生物質(グレースビット、ジェニナックなど)の服用

 
大谷先生は、以下のような予防法をすすめています。毎日の生活に取り入れてみましょう。
◎テレビや新聞を見ながらの「ながら食事」をせず、食べること、飲むことにしっかり集中する。

◎歯磨きをして口中の細菌を増やさない。起床時、朝食後、昼食後、夕食後、寝る前の1日4~5回が効果的。

◎食事の前に空嚥下(唾液だけを飲む込むこと)をし、食べ物を飲み込む事前練習をする。
 ゆっくりでいいので、食事の前にそれぞれ5回行う。

◎肺炎球菌ワクチンの予防接種 など。

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取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

<教えてくれた人>

大谷義夫(おおたに・よしお)先生

「池袋大谷クリニック」院長。日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医。群馬大学医学部を卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年に「池袋大谷クリニック」を開業。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)、『止まらない咳を治す!』(扶桑社ムック) 、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書) 。

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