お風呂で「呼吸筋」を強化すれば、咳き込みや誤嚥も予防できる!

無理なく、手軽に高い健康効果を得られる方法の一つが温浴です。そこで、『医者が教える最強の温泉習慣』の著者で医学博士の一石英一郎先生に、温浴の健康効果や正しい入浴法についてお話をお伺いしました。医学的エビデンスに基づく、温浴の高い健康効果を知り、毎日の健康管理に役立てましょう。

前の記事「草津温泉に古くから伝わる「合わせ湯」は、最強の免疫力アップ入浴法(2)」はこちら。

 

お風呂で呼吸トレーニング!深く、長い息で不調を改善

呼吸は、肺の周りの筋肉が動くことで肺が広がったり縮んだりして行われています。このような呼吸に関わる筋肉の総称を、呼吸筋といいます。呼吸筋が衰えると、「呼吸が浅くなる」「少し動いただけで息が苦しくなる」「よく咳せき込む」「誤嚥(ごえん)する」「全身に酸素が行き渡らなくなって顔色が悪くなる」など、さまざまな不調を引き起こします。

こういった症状に心当たりのある人は、いますぐ呼吸筋を鍛え直す必要があります。そのためには、毎日の入浴を利用するのがおすすめです。

■呼吸筋を強化する入浴方法
お風呂で「呼吸筋」を強化すれば、咳き込みや誤嚥も予防できる! 1902p046_01.jpg

【湯温とつかる時間】
 すっきりしたい→41℃で10分
 リラックスしたい →40℃で15分
 長湯したい →39℃で20分

 

肩までしっかりと湯につかる
    ↓
呼吸を確認しましょう
いつもよりもゆっくりと呼吸しているのが正常です。肩までつかると呼吸が苦しいと感じる人は、呼吸が浅くなっています。
    ↓
腹式呼吸をしましょう(何回でも)
・息を吐く
おなかに両手を添えて背筋を真っすぐ伸ばします。ハーッと、ゆっくり限界まで口から息を吐き出しながら前かがみになります。吐く息に合わせて、おなかはへこませます。お風呂で「呼吸筋」を強化すれば、咳き込みや誤嚥も予防できる! 1902p046_02.jpg

・ゆっくり息を吸う
鼻から息を吸い込み、元の姿勢に戻していきます。吸う息に合わせて、おなかは膨らませます。腹式呼吸を行うのは、気持ち良く吐く→吸うを繰り返せる回数でかまいません。お風呂で「呼吸筋」を強化すれば、咳き込みや誤嚥も予防できる! 1902p046_03.jpg 

 

「入浴中、肩まで湯につかると息苦しいと感じるときがあったら、無理をしないようにしましょう。呼吸筋が弱っていたり疲れていたりするのかもしれません。呼吸筋はゆっくり呼吸をするだけでも鍛えられますが、口をすぼめて呼吸をしたり、腹式呼吸にしたりすることで、さらに効果が上がると考えられます。入浴中の呼吸練習を繰り返すうちに、次第に深く、長い呼吸ができるようになり、呼吸が浅い、すぐに息が上がるなどの症状も改善していくことでしょう」(一石先生)。

ただし、呼吸機能の弱い人やすでに慢性気管支炎などの病気がある人は、いきなり首まで入浴すると呼吸困難を起こすことも。医師に相談の上、無理をせず、半身浴からゆっくりと始めてください。

■お風呂での呼吸がつらい人は
呼吸機能の弱っている人は、入浴時に呼吸筋を鍛えるのが困難なことも。そういった場合は、以下の負担の少ない方法で行いましょう。
・ゆっくりと動く
・前かがみにならない
・半身浴で行う
・無理だと思ったらやめる

 
自宅での入浴を効率的にするには、市販の入浴剤を活用するのもいいでしょう。「入浴剤を上手に活用すれば、自宅でも温泉とほぼ同様の効果が期待できます。ただし、入浴剤を使う場合は、普段の入浴温度と時間ではのぼせる可能性があります。いつもよりぬるめ、短時間を意識しましょう」(一石先生)

 

次の記事「入浴は朝?夜?水分補給はお茶?牛乳? 医師に聞く、毎日の入浴「体にいいのはどっち⁉」(4)」はこちら。
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/はせがわめいた

 

 

<教えてくれた人>

一石英一郎(いちいし・えいいちろう)先生

国際医療福祉大学病院内科学教授。京都府立医科大学卒業。内科/予防医学センターで診療を行う傍ら、統合医療や医工学の研究にも携わる。温泉入浴指導員の資格を有し、温泉を活用した健康増進に精通。

この記事は『毎日が発見』2019年2月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP