体の芯まで温まる入浴は、健康や美容に大変効果的です。でもどんな効果があるの? シャワーではダメなの? と考えてみると、はっきりとした答えは見つかりません。そこで、東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医である早坂信哉先生に温泉や自宅でできる「正しい入浴法」について詳しく教えていただきました。
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温泉選びは体調に合わせて。欲張り過ぎずに入浴を
「温泉地に1週間ほど滞在すると、ホルモン値が正常に近づきます。ですが、たとえ短い滞在でも、リラックスや気分転換、湯がもつ適応症(効能)の効果は十分期待できます」と、早坂先生。
「温泉選びのポイントの一つは泉質。成分により、体に負荷の高い湯と低い湯があります。特徴を知って体調に合った湯を選ぶとよいでしょう。また、管理が行き届いているか否かも大切です。浴槽や浴室が清潔に整えられているかどうかで判断できます」
入浴前後の水分補給も欠かせません。飲泉場がある場合は、入浴前後に温泉水を飲むことで水分補給はもちろん、胃腸の働きを活発にする効果も期待できます。最初に湯につかる際は、たっぷりとかけ湯をしてから半身浴で体を慣らし、その後全身浴を。つかる時間は湯温や泉質により異なりますが、額にほんのり汗をかいてきたらすぐに上がりましょう。
「本来、入浴は1日1回で十分なものです。泉質によっては、何度もつかることで、皮脂が取れて肌が荒れることもあります多くても1日2~3回までと覚えておきましょう」
温泉地には、景観や気候などその土地ならではのさまざまな刺激があり、それらがトータルに作用することで心身が整います。「入浴に加えて、周辺の自然や歴史、文化、食などを楽しみ、心と体を健康にするのがこれからの温泉滞在のあり方です」。疲れを癒やしたいとき、何となく不調なときなど、心身の状態に合わせて、温泉を選んでみましょう。
●体を整える温泉入浴法、3つのポイント
1日何度も入浴するなら!
温泉に何度も入ると体に負担がかかります。多くても1日2~3回を目安にしましょう。また、1回当たりの入浴は3分程度、トータルで10~15分までに。汗が流れたり、顔が熱くなったらすぐに出ます。
入浴前後はコップ1杯の水を!
入浴前後には水やお茶をコップ1杯飲みましょう。飲泉所がある場合は、温泉水が飲めます。1回の飲泉は100~150mlを目安にしましょう。
就寝の1~2時間前に入浴!
寝る1~2時間前に体を温めると、徐々に体温が下がって眠りにつきやすくなります。眠りたい時間に合わせて、温泉入浴を楽しみましょう。
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取材・文/笑(寳田真由美)
東京都市大学教授、温泉療法専門医。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定公式テキストお風呂の「正しい入り方」』(日本入浴協会)など。テレビ、ラジオ、雑誌にも多数登場。