いつから症状があらわれた?「症状メモ」を持参するのが的確な治療の第一歩/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

いつから症状があらわれた?「症状メモ」を持参するのが的確な治療の第一歩/坐骨神経痛 pixta_46496233_S.jpg前の記事「病院選びは、専門医がいるかどうか、かかりつけ医のアドバイスを参考に/坐骨神経痛(7)」はこちら。

 

自分が困っている症状をしっかりと伝える準備を

お尻や下肢に痛みやしびれがあらわれ、「坐骨神経痛かも?」と思ったら、整形外科や脊椎外来のある病院を早めに受診することが大切です。受診の際は、いつごろから坐骨神経痛の症状が始まったか、痛みやしびれの程度や範囲はどれくらいかなどを、医師にしっかりと伝えることが求められます。排泄障害や性機能障害などがある場合は、恥ずかしいからと言い出しにくいこともあるかもしれませんが、事実を伝えることが適切な治療に役立ちます。

いざ診察室で医師と向かい合うと、「緊張してしまって大切なことを伝え忘れてしまった」ということもあり得ます。そうならないよう、受診の前には症状をメモにして書き出しておきましょう。田村先生がおすすめする症状メモの作り方をご紹介します。参考にして、使いやすいメモを作ってください。

 

●病院に行く前に必須! 症状メモの作り方

1)いつごろから症状があらわれたか
・痛みやしびれなどの自覚症状があらわれた時期はいつごろか。症状を感じるようになってからどれくらいの時間が経っているか
・症状があらわれるきっかけになったことはあるか

 

2)どこにどんな症状があるか
・痛みやしびれを感じる範囲をできるだけ具体的に記入する
・尿が出にくい(排尿障害)、便秘(排便障害)、性機能障害(男性の場合は勃起しない、あるいは性的に興奮していないのに勃起するなど)の有無
・同じ症状が続いているか、以前より悪化しているか

 

3)どんなときに症状が強くなるか
・立っているとき、座っているとき、歩いているとき、腰を反らせたとき、前かがみになったときなど、どんなタイミングで症状が起こるか、悪化するときの状況
・夜眠っているときや安静時にも症状があるか
・症状がラクになる姿勢はあるか

 

4)いままで受けた坐骨神経痛や腰痛の治療
・いつ、どのような治療を受けたか(マッサージやカイロプラクティックなどの代替療法も含む)

 

5)その他の病歴、現在治療中の病気の有無
・入院や手術をした病気があるか
・現在治療中の病気(高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症など)はあるか
・現在、飲んでいる薬の種類
・健康診断で指摘されていることがあるか

 

「患者さんからの自覚症状などを詳しく聞き取ることで、坐骨神経痛の原因となる病気は何なのか、ある程度目安をつけることができます。問診と併せて行う視診や触診、神経学的検査、画像検査の結果をもとに確定診断をつけ、病状の程度も明らかになることで、治療の道筋がみえてきます。患者さん自身でないと分からないことを聞くのが問診です。できるだけ詳しく医師に伝えられるように準備しておきましょう」(田村先生)

 

次の記事「9割が保存療法で改善! 症状や生活習慣に合わせた治療を/坐骨神経痛(9)」はこちら。

取材・文/笑(寳田真由美)

 

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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