「手術を受ける病院」を選ぶときは、かかりつけ医のアドバイスを参考に/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

「手術を受ける病院」を選ぶときは、かかりつけ医のアドバイスを参考に/坐骨神経痛 pixta_45514973_S.jpg前の記事「正しい姿勢と生活の工夫で、坐骨神経痛は改善します/坐骨神経痛(6)」はこちら。

 

正しい診断ができる専門外来を受診。
手術の場合は、慎重な病院選びを

お尻や太ももの後ろ、すね、足先などに痛みやしびれがあらわれたら、坐骨神経痛が疑われます。なるべく早めに、整形外科や脊椎外来を受診しましょう。ところで、病院を選ぶときはどんなことに注意したらよいのでしょう?

「坐骨神経痛には、原因となる病気が必ずあります。坐骨神経痛の原因として特に多い腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアは、問診の他、触診、姿勢や歩き方などをみる視診、脊柱を軽くたたいて反応をみる打診、神経の異常を調べる神経学的検査、そして単純X線検査やCT、MRIなどの画像検査を行うことではじめて正しく診断できます。ですから、そういった診断ができる専門の病院を選んでください。特に、"足の動きが悪くなる"、"下肢にマヒがみられる"、"強烈な痛みが続く"といった場合は、すぐにでも専門病院を受診してください」(田村先生)

診断をして原因となる病気が分かったら、治療は運動療法や薬物療法、ブロック療法などの保存療法が基本です。しかし、3カ月程度保存療法を続けても症状に改善がみられない場合は手術を検討します。

「手術を受ける病院を選ぶときのおすすめは、かかりつけの医師に紹介された病院に行くことです。地元の医師は、手術をしている専門の病院をよく知っています。手術後、治療を終えて戻ってきた患者さんを診察すれば、紹介先の病院で適切な治療を受けたか、そうでないかはすぐに分かります。ですから、かかりつけ医がすすめる病院は、まず間違いがないといえるでしょう」(田村先生)。

かかりつけ医に紹介してもらえない場合や、かかりつけ医がない場合は、自分で病院を探す必要があります。そういった場合は、病院のホームページや医療関連の書籍などを参考に、以下の情報を確認するよう、田村先生はすすめます。

・医師が、脊椎の専門医、指導医、認定医であるか
・自分が受けたい治療・手術のための体制(医師、医療スタッフ、入院設備など)が整っているか
・治療や手術数の実績は確かか

 

「腰の病気は数多くあり、医師の専門領域などによって、病院ごとに得意分野があることもあります。そのため、受けたい治療や手術の実績などをあらかじめ確認しておきましょう。病院によっては、腰や下肢の痛みやしびれがあるとすぐに手術をすすめるケースもあります。しかし、坐骨神経痛の9割は、保存療法で改善できます。ですから、"不要な手術"をせずにすむよう、適切な時期に、最も効果的な治療を提案してくれる病院を選んでください」(田村先生)。

病院の説明に少しでも不安を感じた場合は、脊椎専門医のいる外来でセカンドオピニオンを利用するのもおすすめです。その際は、治療法や手術の必要性、手術を受ける場合のタイミングや手術の方法について、相談してみましょう。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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