雑誌「毎日が発見」で「寝たままリンパ体操」を連載中のバレリーナでプロダンサーの前新マミさんは、北海道函館市の出身。リンパ体操の原点となる指導に出会ったのは、クラシックバレエを始めた函館時代のことだそうです。そこで、バレエを習い始めた幼少期から現在まで師と仰ぐ、バレエ教師で振付師の三国徳栄さんに会いに行ってきました。
寝たきり生活の後も体を動かすことで元気に
「戦後、何かやりたいという一心からバレエを始め、函館に稽古場を開いてから勉強のため上京し、(故)千葉昭則先生に師事。その中で、筋肉意識や体の使い方を学びました。バレリーナの体づくりのために、床を使って行われるのがリンバリング(柔軟)です」(三国さん)。リンバリングとは、前新マミさんのリンパ体操の原点です。
三国徳栄さん(左)と前新マミさん。
「美しく歩くこと、美しい姿勢で立てることは何歳になっても重要です。心が整っていれば、自然と姿勢も美しくなるの。だらけていると、姿勢もだらしなくなります。また、年を取ると誰でも体を動かしにくくなるもの。だからこそ、末端から血流を良くすることがとても大事です。私は毎日、手足を動かす体操を行っているの。おかげで、病後も1人で動けるようになりました」(三国さん)
前新マミさんは、3歳から三国先生の元でバレエを師事。食事や生活習慣なども先生の影響が強いとか。
2017年、三国さんは腸炎が原因で4カ月に及ぶ入院生活を過ごしました。ほぼ寝たきりで過ごすうち、筋力は落ち、一時は文字を書くこともできなかったそうです。「転院をきっかけにリハビリを始めました。歩行器、乳母車、介護者付き添いでの歩行などを続けるうち1人で歩けるようになりました。退院後は食事にも気を付けています。朝は山盛りのサラダとプルーン、チーズを必ず食べます。夜は、肉や魚料理とお総菜が基本。台所に立って、作っていますよ」(三国さん)。
食事は毎回記録中です!
退院してからは、毎回欠かさず食事の記録をつけているそう。朝食には、たっぷりの野菜を摂るのがお約束。食事の支度は、自分で行うのも長年の習慣です。
長い入院生活中、外泊許可をもらい最初に行った場所は美容室だそうです。「"美"はいくつになっても必要。闘病中でも髪色を変えるだけで元気が出るもの。時々、若い頃使っていたアクセサリーや洋服を身に着けてみるの。すると、当時の記憶が思い出されます。周りが驚くから人前ではしないけどね(笑)」(三国さん)。
三国さんのバレエスクールは、2021年に70周年を迎えます。「90歳まで筋肉はできるの。だから身をもって確かめるのがいまの課題。そして、70周年には自分が振り付けた舞台を見ることが待ち遠しいです」(三国さん)。
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取材・文/笑(寳田真由美)