江戸時代に始まったといわれる、冬至のゆず湯。実際に理にかなっているのでしょうか。食品科学の専門家で高知大学名誉教授の沢村正義先生によると、「ゆず湯は果皮に含まれる成分、リモネンが湯に溶けて皮膚から浸透し、毛細血管を刺激して血行を促進。また揮発したリモネンが鼻から入って自律神経系に作用し、リラックスを促すと考えられています」とのこと。ただし、敏感肌や乾燥肌の人、肌トラブルのある人などはゆず湯の使用を控えるか、医師にご相談を。湯を張った洗面器にゆず皮を入れれば、香りだけを楽しむこともできますよ。
そして、さらに注目なのは、ゆず自体に肌の健康に役立つ成分が多く含まれていること。ビタミン類や不飽和脂肪酸など、保湿や美白に効果が期待できるそうで、特産地の高知県馬路村ではゆずの成分を使った化粧品も開発・販売されています。
ゆずの中に秘められた注目のパワーを以下にご紹介します。
◆果皮
リモネンの他、抗酸化作用のあるビタミン類が多く含まれ、その濃度は果汁の5倍以上。必須脂肪酸のリノール酸やリノレン酸の体内での酸化を防止し、動脈硬化や心筋梗塞など生活習慣病の予防に役立ちます。
◆種子
種の表面にあるペクチンが、肌に保湿やハリを与えるのに役立つと言われています。また、種に含まれる油はオレイン酸とリノール酸を多く含有し、使い続けることで肌への保湿や美白効果があるという研究結果があります。
◆果汁
新陳代謝の促進や鉄分の吸収を助けるビタミンC。ゆず1個分の果汁には1日に必要なビタミンCの約1/2量が含まれています。また、疲労回復を助けるクエン酸の含有率は、かんきつ類の中でもトップクラスです。
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取材・文/岸上佳緒里