旬の獲れたて、新鮮な魚を缶詰に加工する魚缶。最もおすすめな点は、たんぱく質をはじめ、認知症予防や血液サラサラ効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、積極的に摂りたい栄養がたっぷり詰まっていることです。
缶を開けるだけ、という手軽さで骨や皮まで魚の豊富な栄養を丸ごと摂取でき、料理の時短にも。魚缶の上手な活用法を料理研究家の村上祥子さんに教えていただきました。
◇◇◇
人気ナンバー1! DHA・EPAに加え、ビタミンも豊富
さば水煮缶
【さば水煮缶の8つの魅力】
EPAが血液をサラサラに改善
EPAは人間の体内で作ることのできないn-3系の多価不飽和脂肪酸の一種。血液の流れをスムーズにして、コレステロールや中性脂肪を肝臓に運び、善玉コレステロールを増やす効果が認められています。また、EPAに含まれるGLP-1は、食べ物が体内に入ってくるとすい臓に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖値の上昇を抑えます。
DHAで認知症の予防
n-3 系の多価不飽和脂肪酸であるDHA。脳を活性化する働きがあり、記憶力、学習能力を高める効果があります。アルツハイマー型認知症の予防・改善に効果が認められています。
ビタミンDで骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防
ビタミンD は、カルシウムと一緒に摂ると骨密度アップの効果が倍増します。骨まで丸ごと食べられるさば水煮缶は、カルシウムも多く一石二鳥です。
ビタミンEの強い抗酸化力
「老化抑制ビタミン」とも呼ばれ、活性酸素から体を守るビタミンE。血行を良くし、冷え性や肩こりの改善にも働き、不足すると貧血気味になります。
ビタミンB12で血色の良い肌に
「赤いビタミン」とも呼ばれます。補酵素として造血作用に関わり、葉酸と協力して悪性貧血を防いだり、血色の良い肌色を保つのに役立ちます。
ロイシンでロコモティブシンドローム予防
必須アミノ酸であるロイシン。含有量が高い食事ほど、筋肉量がアップすることがわかっています。筋肉があると骨折を防ぐことができます。
ナイアシンで代謝向上
エネルギーを作るときには酵素が働き、それを補助するために不可欠なビタミンの一種です。ナイアシンは熱に強く、加熱済みのさば缶に豊富です。
ビタミンB2で老化を防止
ビタミンB2はエネルギーがスムーズに作られるのを助ける栄養素です。たんぱく質の代謝と合成にも関わり、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。
まずはそのまま! 調味料もなし! 焼くだけで絶品
「さば缶焼くだけレシピ」
1人分144kcal /塩分0.6g
材料(2人分)
さば水煮缶...1缶(正味180g)
作り方
1 缶汁をきり、身を食べやすく切ってアルミケース2個にのせる。
2 オーブントースター強で5分、上に焦げ目がつき、脂がじわじわとにじんでくるまで焼く。
ごま油との相性が抜群
「さばピーマン」
1人分111kcal /塩分0.4g
材料(2人分)
さば水煮缶...1/2缶(正味90g)
ピーマン...3個
A 砂糖...小さじ1
ごま油...小さじ1
豆板醤...少々
こしょう...少々
作り方
1 さば缶の缶汁をきり、身をほぐす。ピーマンは種を取って縦2等分し、細切りにする。
2 耐熱ボウルにAと1を入れてザッと混ぜ、ふんわりとラップをして電子レンジ600Wで3分加熱し、すぐに取り出して混ぜ、こしょうをふる。
ほうれん草と合わせて貧血予防に!
「さばとほうれん草のごまあえ」
1人分115kcal /塩分0.7g
材料(2人分)
さば水煮缶...1/2缶(100g)
ほうれん草...100g
A さば缶の缶汁...大さじ1
うす口しょうゆ...小さじ1
すりごま...小さじ2
ごま油...小さじ1/2
作り方
1 さば缶は身と缶汁に分け、身は細かくほぐす。
2 ほうれん草はサッとゆで、水に取って絞り、幅1㎝に刻む。
3 Aを合わせ、さばの身と2 をあえる。
きのこの食物繊維をプラス
「さばときのこのマリネ」
1人分132kcal /塩分0.6g
材料(2人分)
さば水煮缶...1/2(100g)
生しいたけ...4~5個
しめじ...1パック
えのきたけ...1パック
A さば缶の缶汁...約大さじ2
酢...大さじ2
砂糖...大さじ2
塩...少々
赤とうがらし...1本
作り方
1 さば缶は身と缶汁に分け、身はほぐす。
2 しいたけは軸を除き、十字に4つに切る。しめじは石づきを除いてほぐす。えのきは石づきを除き、半分に切ってほぐす。
3 耐熱ボウルにAを合わせ、さばの身、2、とうがらしを加える。両端を開けてラップをし、電子レンジ600Wで4分加熱し、すぐに取り出してよく混ぜる。
次の記事「簡単&おいしい! ごはん・おかず・汁物まで「さば水煮缶」づくしの献立/魚缶」はこちら。
取材・文/石井美佐 撮影/中野正景